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与野党が参院選戦略の一環として、子どもや若者向けの政策発信に力を入れている。小学生でも読みやすい「子ども公約」の作成など従来の取り組みに加え、党のホームページ(HP)やSNSでアピールする姿勢も目立ち、若年やその親世代への支持拡大を競い合っている。

自民党は、子ども向けの政策集「みんなへの約束」を作成した。分量は10ページで、漢字にふりがなを振るほか、動物の写真を多く使い、防衛力の強化や新しい資本主義などを易しい言葉で解説している。自民関係者は「個人演説会などで祖父母世代に配り、家族で読んでもらいたい」と話す。
公明党も「こども・子育てマニフェスト2022」を用意した。子ども政策の司令塔となる「こども家庭庁」やヤングケアラー支援に触れ、「新しい時代を担うみなさんと世の中のこと、政治のことを考えていきたい」と呼びかける。
立憲民主党が作ったのは、18、19歳をはじめとする若者向けのビラだ。「家にお金がないと塾にも行けない。希望の高校にも大学にも行けない」といった若者の声を大学の学費などのデータとともに紹介し、若年層の共感を得る狙いがある。
インターネットを使った発信でも若者を意識して工夫を凝らしている。
日本維新の会はHP上で、重要課題について岸田首相は「検討」という発言が多いとして、「検討牧場」と題したコーナーを設けた。牛のイラストに「モゥ~ いい加減にして~」と語らせ、少子化や物価高騰、新型コロナウイルスに関する政府の対応を批判し、維新の政策を紹介している。
共産党はHPで「ココがアツいよ。日本共産党」というコーナーを設けた。所属国会議員の国会での質疑や演説を1分半程度に編集した動画を「ココアツ動画」と命名し、公開している。
国民民主党は、HPを訪れた人に年齢層や関心分野を聞いて「おススメの政策」を提示している。例えば「20歳以下」を選び、示されたテーマから「バイト代を上げたい!」を選ぶと、賃上げ支援策が表示される。
各党が若い世代にアプローチするのは、投票率が低迷している若年層の関心を高める狙いがある。昨年の衆院選では全体の投票率が55・93%だったのに対し、総務省による抽出調査で18、19歳は43・21%にとどまった。各党とも若年世代に党の政策やイメージの浸透を図ることで将来的な支持基盤の強化にもつなげ、保護者世代の票の取り込みも図る考えだ。