[政策分析 参院選]<4>エネルギー…原発再稼働で対立軸

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鉄を電炉で溶かす鋳物工場では電気代の高騰が重荷となっている(16日、埼玉県川口市の宿谷鋳工所で)
鉄を電炉で溶かす鋳物工場では電気代の高騰が重荷となっている(16日、埼玉県川口市の宿谷鋳工所で)

 鋳物の街として知られる埼玉県川口市。機械や鉄道の部品を生産する 宿谷しくや 鋳工所では、電気代の高騰が経営の重荷となっている。

 鋳物は、鉄や鉱石を電炉で溶かして作るため、大量の電気を使う。宿谷鋳工所は2019年、中部電力と大阪ガスが出資する電力会社と契約を結んだ。他の電力会社より割安な料金だったが、燃料費の変動を料金に反映する契約だった。

 ロシアによるウクライナ侵攻を受け、液化天然ガス(LNG)や原油などの燃料価格は急騰。宿谷鋳工所の電気代も上昇し、5月分は前年同月比で約3割高い160万円に跳ね上がった。

 製品の納入先には値上げを依頼しているが、全額を転嫁するのは難しい。前年の約2倍に上昇した鉄の費用増は反映してもらえても、電気代の上昇分まで転嫁するのは至難の業だ。宿谷貴之社長(49)は「エネルギー高と原料高のダブルパンチで、値上げ分を価格に反映しきれず、経営はギリギリの状況だ」と語る。

 電気代上昇の要因の一つに、原子力発電所の再稼働の遅れがある。電力各社が新しい規制基準に基づく安全審査を申請した16原発27基のうち、審査に合格して再稼働できた原発は6原発10基にとどまる。国内の発電量に占める原子力の割合は10年度の25%から20年度は4%まで落ち込んだ。

 一方、火力発電の割合は65%から76%に上昇した。原発と違い、LNGや原油などの燃料を大量に使うため、発電コストはどうしても大きくなり、電気代の値上がりにつながっている。

 3月の福島県沖地震の影響で大型火力発電所が停止したことや、猛暑の影響で、すでに電力需給は綱渡りの状態だ。政府は27~29日を対象に東京電力管内に電力需給 逼迫ひっぱく 注意報を発令し、家庭や企業に節電を呼びかけている。最終的な手段として、地域ごとに輪番で停電させる計画停電も検討する。東京都大田区の橋本鋳造所の橋本信介社長(57)は「節電に協力はしたいが、商品の納期順守は絶対だ。休日の稼働など、対応を考えるしかない」と嘆く。

 エネルギー事情が激変する中、与党は原発を巡る方針を修正している。

 自民党は「安全が確認された原子力の最大限の活用を図る」と盛り込んだ。従来は「可能な限り原発依存度を低減」としていたが、党内では早期再稼働や原発新増設の容認を求める声が高まる。「原発ゼロ」を掲げてきた公明党も「将来的に原発に依存しない社会を目指す」と表現を弱めた。

 野党にも温度差がある。日本維新の会、国民民主党、NHK党は、安全性が確認された原発の再稼働を容認している。一方、立憲民主党は「原発の新増設は認めない」とし、社民党は脱原発を掲げる。共産党は原発即時ゼロとした。

 電力の安定供給は国民生活にとって不可欠だ。原発再稼働に加え、ロシア産化石燃料にかわるエネルギーの確保など課題は山積している。各党には多角的な議論が求められている。

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3122574 0 参院選 2022/06/29 05:00:00 2022/06/29 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/06/20220629-OYT1I50011-T.jpg?type=thumbnail

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