[不測の時代に 22参院選]<3>有事の避難 島民「不安」…標的警戒 原発自治体も

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地下施設なし

 「有事になれば真っ先に標的になるのに、私たちには逃げる場所も時間もない」

 2020年3月に陸上自衛隊のミサイル部隊が配備された沖縄県・宮古島。宮古島市 保良ぼら 集落に住む下地薫さん(68)は、こう訴える。自宅近くには、地対空・地対艦ミサイルなどを保管する火薬庫がある。

 ロシアのウクライナ侵略では、基地や軍需工場などの軍事施設だけではなく、アパートや商業施設も攻撃され、多くの市民が犠牲になった。中国を念頭に防衛力強化が進む南西諸島の住民は、現実的な脅威にさらされている。

 政府は、日本を狙ったミサイル攻撃があった場合、海上自衛隊のイージス艦と航空自衛隊の地対空誘導弾「PAC3」で多層的に迎撃するとしている。それでも防ぎきれないリスクは残る。

陸上自衛隊の火薬庫がある施設を前にミサイル攻撃への不安を語る下地薫さん(15日、沖縄県宮古島市で)=東慶一郎撮影
陸上自衛隊の火薬庫がある施設を前にミサイル攻撃への不安を語る下地薫さん(15日、沖縄県宮古島市で)=東慶一郎撮影

 このため、国民保護法では、他国からの武力攻撃を想定して、住民を避難させる施設を指定するよう都道府県に義務づけている。しかし、宮古島市に85ある避難施設の多くは学校、公園、公民館で、爆風などから命を守る効果が高い地下施設は一つもない。集落にあるのは平屋の公民館だけだ。

 市の試算では、島外への避難には、航空機なら約380機、船なら約110隻が必要だ。しかし、現時点では、確保の見通しは立っておらず、避難施設を求める声は高まっている。

 「ウクライナの人は、ミサイル攻撃を受けても地下に逃げて助かった」。下地さんは近隣住民に呼びかけ、保良自治会は4月、地下シェルターの建設を求める決議を賛成多数で採択し、5月、市に要請書を提出した。

 ただ、地下鉄や地下街などがある本土の都市部と違い、離島にはそもそも地下のある施設がほとんどない。市防災危機管理課の担当者は「すぐに大規模な地下避難施設を建設するのは難しい。爆風や破片などから身を守りやすい地形を探すしかない」と頭を悩ませる。

ミサイル攻撃

 ロシアのウクライナ侵略は、原子力発電所の立地地域にも衝撃を与えた。ロシア軍が3月、欧州最大規模のザポリージャ原発を攻撃したためだ。加えて、北朝鮮の日本海に向けたミサイル発射は今年だけで20回近くに上り、原発周辺の安全確保は喫緊の課題に浮上した。

 全国最多15基の原発を抱える福井県。関西電力美浜原発(美浜町)近くで民宿を経営する梅津良一さん(64)も「原発が攻撃の標的になったら、現在の県警による警備だけでは対応できないのではないか」と不安を口にする。

 県警は01年の米同時テロ後、原発が集中する県南部に、原発警備を専門とする部隊を配備した。サブマシンガンやライフル銃を所持し、24時間態勢で警戒を続けている。ただし、主にテロ対策を任務とし、外国による大規模な武力攻撃への対応は想定外だ。そのため、県は13年から、県南部に自衛隊配備を求め続けているが、政府から具体的な返答はまだない。県危機対策・防災課は「自治体レベルでは対応できない。国はしっかり防衛体制を整えてほしい」と注文する。

 6月、全国で唯一、県庁所在地にある中国電力島根原発(松江市)を抱える島根県の丸山達也知事は、2号機の再稼働への同意を表明した。県民からは「北朝鮮のミサイルが飛んできても大丈夫なのか」と不安を訴える声が出ている。

 全国知事会の原子力発電対策特別委員会委員長を務める丸山知事は同16日、首相官邸で松野官房長官と会談。自衛隊によるミサイルの迎撃や部隊配備などを求めた後、報道陣にこう語った。

 「まずは、武力攻撃を許さない国際秩序の確立に、政府一体で取り組んでもらいたい」

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3122597 0 参院選 2022/06/29 05:00:00 2022/06/29 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/06/20220629-OYT1I50020-T.jpg?type=thumbnail

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