[注目区を行く・沖縄]9月に知事選、代理戦争…セットで狙う「ダブル当選」

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 小雨が降り、連日の暑さが少し和らいだ沖縄本島中部・宜野湾市。首相で自民党総裁の岸田文雄(64)が1日、商業施設周辺の路上を埋め尽くした聴衆に呼びかけた。

オール沖縄、知事選に弾み…参院選で自民新人破る

 「沖縄が日本をリードする時代でなければならない。この選挙、皆さんの力を与えていただきたい」

 かりゆし姿の岸田は5日間の外遊を終え、前日に帰国したばかり。長旅の疲れも見せず、外遊成果を交えて訴える顔は、すでに決戦モードに切り替わっていた。岸田と並んだ自民新人の 古謝こじゃ 玄太(38)は、「即戦力として、必ず未来の沖縄のためにも役立つ人材です」と、名前を懸命に売り込んだ。

 参院選公示後に沖縄入りしたのは岸田だけではない。前首相の菅義偉(73)、前環境相の小泉進次郎(41)、組織運動本部長の小渕優子(48)――。いずれも全国で引っ張りだこの人気応援弁士だ。幹事長の茂木敏充(66)は5~6月、3度沖縄に入った。

 党本部が沖縄での議席獲得に並々ならぬ力を注ぐのは、参院選後の9月に知事選が控えているためだ。今年、本土復帰50年を迎えた沖縄は、参院選以外の選挙も相次ぐ「選挙イヤー」にあたる。自民は年明け以降、名護、南城、石垣、沖縄の4市長選で全勝を収めた。その追い風に乗って、「前哨戦」となる参院選にも勝ち、知事選での県政奪還を目標に掲げる。

 この日、県内3か所で行った岸田の街頭演説には、自民県連が知事選に擁立を決めた前宜野湾市長、佐喜真淳(57)がいずれも同席した。岸田は演説で、佐喜真も紹介し、2連勝に向けた意欲を見せた。

 自民は参院選で、古謝と佐喜真の「セット売り」を基本戦術とする。古謝の演説会で佐喜真が「前座」を務めることで、両者ともに県内全域での浸透を図る。自民の地元国会議員の間では、「参院選の勝利なくして知事選の勝利なし」というのが共通認識だ。

 1972年の本土復帰後に生まれた古謝は、若さをアピールする。ただ、知名度不足は否めない。祖父も父も政治家ではなく、政界とのパイプはほとんどなかった。この足りない部分を補うのが、2001年の宜野湾市議初当選以降、県議や同市長を務め、政治経験が豊富な佐喜真の役目になる。古謝が参加できない集会には、佐喜真が代理出席する。

 知事選との一石二鳥の効果を狙う戦術には、党本部に異論があった。佐喜真が目立てば、再選を目指す現職知事、玉城デニー(62)が対抗して前面に立つことを警戒したからだ。それでも、地元の自民県連は、参院選勝利への近道はセット戦術にあるとして譲らなかった。

 セットでの選挙運動で「ダブル当選」を狙うのは相手陣営も同じだ。

 古謝と事実上の一騎打ちを繰り広げる無所属の 伊波いは 洋一(70)は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設反対を旗印とする「オール沖縄」の全面サポートを受ける。陣営が、支持拡大で期待を寄せるのが玉城だ。玉城自身も「参院選の勝敗が知事選に影響しないとは言えない」と語り、前面に立つ構えだった。

 ところが、玉城は6月28日に新型コロナウイルス感染が判明し、陣営には動揺が広がる。玉城はSNSでの発信を含めて表立った活動は基本的に控える方針で、「知名度の高い知事の戦線離脱は、大事な時期に本当に痛い」と嘆く声が漏れる。

 支持基盤であるオール沖縄では「保革相乗り」という利点が弱まってきた。オール沖縄の中心だった保守派の県内有力企業の会長は、5月に古謝と面会したほか、自民党幹部との接触を重ねる。この会長は、オール沖縄の革新色が強まったことを理由に玉城の後援会長もすでに辞任し、たもとを分かった。

 伊波は、宜野湾市長時代から、辺野古への移設反対を主張してきたことで知られる。6年前の参院選でも移設反対を強調し、相手候補に10万票以上の大差で圧勝した。今回は風向きの変化を感じる。移設を着実に進める政府に対し、県民には無力感も漂い、陣営からは「『辺野古反対』だけでは限界がある」との声が上がる。

 6月22日には、沖縄本島最北端にある国頭村の「祖国復帰闘争碑」の前で第一声に臨んだ。碑には、米軍基地を抱えながらの本土復帰を非難する文言が刻まれる。伊波は演説で、移設に改めて反対する姿勢を強調した。

 一方で、「外国人観光客を招き入れて、沖縄の経済回復に役立てたい」などと経済政策も語った。全体で約18分だった演説の半分近くを費やす力の入れようだった。官僚経験があり、政策通の古謝に対抗するには、経済政策への言及は避けられないとの判断がある。

 自民系6勝、革新・オール沖縄系12勝。過去50年の参院選の結果だ。今回は知事選の「代理戦争」の様相を呈す。節目の年に県民が下す審判に注目が集まる。(敬称略)

沖縄選挙区(改選数1)の候補者・アンケート一覧はこちら

(沖縄担当 原尚吾、那覇支局 矢野恵祐)

【リアルタイム更新中】参院選 開票速報
参院選 沖縄選挙速報・開票結果【随時更新】
スクラップは会員限定です

使い方
「選挙2022・世論調査」の最新記事一覧
3132575 0 参院選 2022/07/02 05:00:00 2022/07/04 10:47:53 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/07/20220701-OYT1I50231-T.jpg?type=thumbnail

開票結果

ピックアップ

読売新聞購読申し込みキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)