[注目区を行く・東京]唯一の「6枠」34人乱立

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 参院選最後の日曜日を迎えた3日昼前。休日を楽しむ観光客らでにぎわう東京・浅草の雷門前で、自民現職で再選を目指す朝日健太郎(46)が声を張り上げた。

小池知事が連日応援、ファーストの会代表の「相棒」荒木さん落選…東京選挙区

 「もっともっと、東京を世界から選んでもらう街にしたいんです」

 朝日の演説中には、首相で党総裁の岸田文雄(64)が駆けつけた。身長1メートル73の岸田が、元ビーチバレー五輪代表で1メートル99の朝日と並ぶと、その長身がさらに際だった。岸田は「日本最大の激戦区・東京で朝日さんを押し上げていただきたい」と呼びかけた。

 岸田は1時間前、自民が擁立した新人の生稲晃子(54)の応援で、約10キロ・メートル離れた渋谷駅のハチ公前広場でもマイクを握った。

 3年前に2議席を得た自民は、今回も「2人当選」が目標だ。朝日は、6年前に当時官房長官だった前首相の菅義偉(73)の後押しで初当選し、菅内閣では国土交通政務官を務めた。菅は公示日に応援に入り、「何としても当選させてほしい」と支援を求めた。

 一方の生稲は、人気アイドルグループ「おニャン子クラブ」のメンバーだった。元首相の安倍晋三(67)が率いる安倍派に所属する現職の引退を受け、安倍に近い参院幹事長の世耕弘成(59)が擁立を主導し、同派が全面支援する。安倍も公示日に応援演説を行い、「がんに苦しみながら子育てし、仕事と両立してきた」と生稲を売り込んだ。選挙結果は、菅と安倍の今後の求心力に関わるとも目される。

 自民は、都議のうち19人が朝日、13人が生稲の陣営に分かれ、友好団体が持つ票の配分を調整する。2007年参院選では、劣勢と判断した新人へのテコ入れを強化して当選させ、逆に現職が約3万票差の次点で涙をのんだ。「2人当選には、細心の票割りが必要だ」。15年前の教訓を胸に刻む党幹部は、両陣営のバランスに腐心する。

 約1150万人の有権者を抱える東京選挙区は、比例票の上積みも狙い、多くの政党が候補を立てる。無党派層が多く、その時々の「風」の影響を受けやすいため、各党の勢いを示すバロメーターとなる。

 野党第1党の立憲民主党は前身の民進党が6年前に得た2議席の維持に向けて、蓮舫(54)と新人の松尾明弘(47)を擁立した。過去2回連続でトップ当選した蓮舫は、選挙期間の大半を各地での応援に充てる。

 課題は、松尾の知名度だ。弁護士の松尾は1年足らず衆院議員を務めた。蓮舫は、「松尾さんの認知度をとにかく高めたい」と語る。立民の都内25総支部のうち24総支部が松尾に付き、連合東京も支援する。

 自民や立民など現有議席を持ち、組織力も兼ね備える政党が、議席獲得で有利なのは、浮動票の比重が大きい東京でも変わらない。固い組織票がある公明、共産両党も「首都の1議席」の死守が至上命令だ。

 公明の竹谷とし子(52)は、「政治は何をやったかが問われる」と自公政権の成果を強調する。共産の山添拓(37)は、「今度の選挙は憲法がかかっている」と改憲反対などを訴える。

 全国唯一の「6枠」を争うことから、強固な組織がない場合でも、高い知名度や勢いを武器に滑り込む余地は十分にある。

 2日夕、中野区に都知事の小池百合子(69)が姿を見せた。地域政党「都民ファーストの会」が国政進出に向けて設立した「ファーストの会」代表で、国民民主党が推薦する荒木千陽(40)の応援だった。シンボルカラーの緑色のリボンを帽子に巻いた小池は、「即戦力、突破力、人間力。三拍子そろう」と荒木を紹介し、国政での活躍に太鼓判を押した。

 小池は、秘書として長年自身に仕えた荒木を「相棒」と呼ぶ。都政では、都議会第1党の自民に配慮も示しつつ、5月の自民都連のパーティーでは、「私の家族の荒木も出ますので」と宣伝を忘れなかった。

 昨夏の都議選では、小池が最終日に都民ファ候補の支援に入り、苦戦必至との見方をはね返し、善戦につなげた。自民内では、ほぼ連日荒木を応援する小池の動きを「国政再挑戦への布石」とみる向きもある。

 れいわ新選組代表の山本太郎(47)も各党が警戒する存在だ。衆院議員を辞職し、公示の約1か月前に東京選挙区での出馬を表明した。無所属で初当選した13年参院選の再現を目指し、「この国を変える先頭に立たせてもらいたい」と主張する。小池と山本の動きが、混戦に一層拍車をかける。

 東京での足場を強化したい日本維新の会は、大阪市議出身の海老沢由紀(48)を擁立した。6月28日、代表で大阪市長の松井一郎(58)が世田谷区で演説を始めようとすると、「大阪に帰れ!」とヤジが飛んだ。松井は「大阪に帰るわけにはいかない」と応戦し、「大阪の改革は全国で通用する」と声をからした。

 社民党やNHK党、作家の乙武洋匡(46)らも支持拡大を競う。

 各党が威信をかけた首都決戦。34人の乱立は2000年代では、最多だ。終盤戦を迎え、各候補が大都会を駆け抜ける。(敬称略)(八角一紀、社会部 山田佳代)

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3140463 0 参院選 2022/07/05 05:00:00 2022/07/05 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/07/20220704-OYT1I50162-T.jpg?type=thumbnail

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