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2009年8月30日、日本の政治史に新たな一ページが記された。

「長く続いた自民党政権に対し、国民が新たな政権を選択した」。民主党の鳩山代表は、記者会見で高らかに勝利宣言した。
「政権選択」が最大の争点となった衆院選で、民主党は308議席を獲得して政権交代を果たした。119議席にとどまった自民党は1955年の結党以来、初めて第2党に転落した。
鳩山内閣で官房副長官を務めた松井孝治・慶大教授が、「やることなすこと、全部麻生さんへの反発につながった。この勝負は勝てるという感覚があった」と振り返る通り、民主党が勝ったというより、自民党が負けた選挙だった。

リーマン・ショックへの対応を理由に衆院解散を先送りした麻生首相は、相次ぐ失言や、漢字の誤読などで支持率を急落させた。金城湯池とされた地方で自民党離れが進み、強力な支持団体だった医師会や農業団体の組織力も低下した。
そこに攻め込んだのが民主党だ。地方から支持拡大を図る小沢一郎代表代行の「川上戦略」の下、農家への戸別所得補償制度の創設などを訴え、保守層の取り込みに成功した。松井氏は「国会審議でも反対一辺倒ではなく、是々非々で議論した結果、中道的な保守層も『民主党にやらせてもいいんじゃないか』と思うようになった」と語る。