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[衆院選2021]「社会保障、目先の対策ではなく将来見据えた政策を」香取照幸・上智大教授

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 社会保障は今回、コロナ対策の陰に隠れて大きな争点にならないかもしれないが、気になるのは各政党が現金給付や減税ばかりを前面に掲げている点だ。

[衆院選2021]今後の展望 識者に聞く
東大法卒。1980年旧厚生省入省。介護保険創設、社会保障・税一体改革に携わる。前アゼルバイジャン大使。2020年から現職。未来研究所臥龍代表理事。65歳。
東大法卒。1980年旧厚生省入省。介護保険創設、社会保障・税一体改革に携わる。前アゼルバイジャン大使。2020年から現職。未来研究所臥龍代表理事。65歳。

 もちろんコロナ禍で生活が大変な非正規労働者や子育て世帯にお金を配る政策は必要かもしれない。だが、対症療法的に現金を1回配って生活や雇用を立て直せるか。また、野党が言うように消費税率を10%から5%に下げるなら、年10兆円超の巨額の減収になる。代替財源をどうするのか。

 2012年に自民、公明、民主3党が合意した「社会保障と税の一体改革」は、消費税の増税分はすべて社会保障に使うとした。減税による給付への影響をどう考えているのか。

 各政党は目先の対策ではなく、将来を見据えた責任ある政策を語ってほしい。

 多くの政党が子どもが大事だと言う。その通りだが、子育て施策の財源を国債に求めるのは、将来の子どもたちに財政的な負担を押しつけるのと同じだ。

 子ども向けの省庁を作るのも良いが、その施策は保育、教育、経済支援、虐待対応など幅広い。どこまでを含め、何のために作るのか。省庁を作るなら予算だけでなく人員も抜本的に拡充しなければ機能しない。

 社会保障制度は、雇用の綻びと少子化の進行で、土台が揺らいでいる。

 特に非正規労働者やフリーランスへの保障の薄さが問題で、最優先で取り組むべきは、そうした人たちを厚生年金や健康保険にきちんと加入させることだ。厚生年金の適用拡大が進めば、老後の保障ができるだけでなく、全体の年金の給付水準確保にもつながる。

 格差の是正は最大の課題だ。社会保障だけでなく「1億円の壁」の解消(金融所得課税の見直し)など、不公平税制も改めるべきだ。

 岸田首相は看護師や介護職員、保育士などの所得向上を目指すと表明した。医療・福祉分野は8人に1人が働く巨大労働市場で、今後も人材が必要となる。賃金を上げるだけではなく、人材が定着し、キャリアを積めるビジネスモデルの構築が求められる。

 社会保障は政権が変わるたびに制度がコロコロ変わるようでは困る。〈1〉財源を語る〈2〉経済や財政と一体で考える〈3〉政争の具にしない――。この3党合意の知恵を忘れずに、政策論争が深まることを期待したい。

(聞き手・編集委員 猪熊律子)

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