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自民党と立憲民主党が、ともに議席を減らす結果となった今回の衆院選。与野党双方に「風」は吹かず、「第3極」の日本維新の会へと流れた。投開票から一夜明けた1日、当選者は祝勝ムードとは遠い朝を迎えた。

「おはようございます。おかげさまで当選させていただきました」
東京21区で4回目の当選を果たした自民党の小田原潔さん(57)は1日午前7時から、東京都国立市のJR国立駅前で通勤客らに開票結果を伝えるチラシを配り、感謝の言葉を繰り返した。
同区では、野党共闘が成立。小田原さんはかつてない危機感を持って選挙戦に臨み、岸田首相や安倍元首相ら大物らの応援を受け、立憲民主党候補に1万3000票余りの差を付けて議席を勝ち取った。取材に「実直に駅前に立ち続け、あらゆる行事に参加してきた自負がある。地元の支援者には仕事で必ず恩返しする」と表情を引き締めた。

自民党の中川
2009年に急死した夫の中川昭一元財務・金融相の後を継ぎ、12年に初当選した。路上でキスをしている姿を週刊誌に報じられるなどして支持者の反感を買い、17年は落選の憂き目にあった。
中川さんは時折涙をにじませながら、「この議席を埋めなければならないという重圧があったのでホッとした」と話した。
一方、沖縄3区では元沖縄相の自民党新人・島尻安伊子さん(56)が初当選した。
同区は沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設工事が進む名護市辺野古を抱える。移設反対を掲げる「オール沖縄」勢力の前議員を接戦で退け、12年以来となる自民の議席を獲得した。
沖縄では、来年に知事選や名護市長選が控える。1日朝、那覇市で開かれた当選者座談会に出席後、支援者へのあいさつ回りに向かった島尻さんは「3区で勝てたことは弾みになる」と語った。

圧倒的な知名度で、選挙区での勝利を重ねてきた立憲民主党副代表の辻元清美さん(61)は大阪10区で日本維新の会の新人に敗れ、比例復活もできなかった。選挙戦当初は「党の先頭に立って、日本中を駆け回り、政治を変える」と訴え、他の選挙区の応援にも出向いていた。
しかし、維新の攻勢が伝えられる中、次第に選挙区に張り付いて街頭での訴えに力を入れるように。選挙戦終盤の先月27日には、旧知の山崎拓・自民元副総裁を応援に招き、党派を超えた働きぶりをアピールしようとしたが、維新の攻勢の前に涙をのんだ。
辻元さんは比例復活が絶望的になった1日未明、記者団に力なく選挙戦をこう振り返った。「維新への風が相当強く、接戦だった最後は、集中砲火のように攻められた」。
小選挙区で最後の議席を獲得したのは宮城2区の立民元議員、鎌田さゆりさん(56)だった。市選管の開票トラブルもあったが、ふたを開けてみると自民候補との差は571票という僅差の勝利。1日午前7時過ぎ、仙台市営地下鉄の泉中央駅(仙台市泉区)前に立ち、「これから働きます」と深々と頭を下げた。