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マニフェスト総括「成長戦略」景気拡大2つの道

 衆院選では日本経済の成長戦略をどう描くのかが焦点となっている。政権公約(マニフェスト)からは、企業の業績回復を前提に景気拡大を目指す自民党と、家計への直接給付で消費を増やそうとする民主党との違いが鮮明だ。

 ◆ゴールは同じ◆

 「我々の景気対策は間違っていなかった。暮らし、雇用を守るには景気回復は最も大事なこと」。麻生首相は25日、仙台市での演説で、4〜6月期の国内総生産(GDP)が実質年率3・7%増と、1年3か月ぶりにプラス成長になった実績を強調した。昨年秋以降の経済悪化に歯止めがかかったのは、公共事業の増額や中小企業支援など事業規模約132兆円の景気対策の効果と胸を張った。

 一方で、民主党の鳩山代表は25日、東京都内の演説で「家計を潤すことによって景気を回復させていきたい」と述べ、子ども手当や高速道路無料化などで直接、家計を刺激するのが景気回復の近道との考えを示した。

 自民党は、企業活動を後押しすれば賃金が上がり、個人消費が増えていくという「企業主導型」の成長策が柱だ。民主党は、手当支給などで−直接、家計の手取り所得を増やして消費を拡大する「家計直入型」を目指す。経済成長というゴールは同じだが、そのルートはまったく異なる。

 ◆伸び悩み◆

 自民党のシナリオは、景気対策を継続して2010年度後半に年率2%の経済成長を実現し、11年度から内需と外需の「双発エンジン」で本格的な回復軌道に乗せる——というものだ。政権公約では「10年で家計の手取りを100万円増やし、1人当たり国民所得を世界トップ水準に」との目標を掲げた。

 ただ、これまでの日本経済を振り返ると、厳しい結果となっている。08年度までの10年間の年平均実質成長率は1・09%にとどまり、01年にOECD(経済協力開発機構)諸国で5位だった1人あたりGDPも07年には19位まで低下した。勤労者世帯の可処分所得も伸び悩んでいる。

 環境技術をテコにした競争力強化や、アジア市場の活力を取り込む戦略も掲げているが、いずれも具体性に欠ける。

 ◆効果未知数◆

 民主党は「家計の可処分所得を増やして消費を拡大し、日本経済を内需主導型に転換する」と主張している。このほか「農業、海洋資源開発、航空宇宙産業など、世界一流に仕上げていける産業を見いだす素地は十分ある」(鳩山代表)と、バイオ、ナノテクなどの先端技術の開発・普及を支援する考えを示している。

 ただ、「家計支援」にどの程度の内需拡大効果があるかは未知数だ。第一生命経済研究所の試算では、子ども手当の導入やガソリン税などの暫定税率廃止など、マニフェストに盛り込まれた政策による消費押し上げ効果は来年度で0・4%にとどまる。

 日本の失業率は過去最悪水準で、雇用不安や賃金悪化が続く。労働者の手取りを増やすため最低賃金を1000円に引き上げる政策も掲げるが、賃金が上昇すれば企業側は雇用を抑制するだけだ。永浜利広主席エコノミストは「雇用不安が払拭(ふっしょく)されない限り、子ども手当などを給付しても貯蓄に回るだけで個人消費の低迷は続く」とみている。(経済部 黒川茂樹)

2009年8月26日06時39分  読売新聞)
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