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「アメリカとは何か」、続く模索…米大統領就任演説<3>

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(演説抜粋)
“Through the Civil War, the Great Depression, World War, 9/11, through struggle, sacrifice, and setbacks, our ‘better angels’ have always prevailed.
“In each of these moments, enough of us came together to carry all of us forward.
“And, we can do so now.”

(和訳)
 南北戦争、大恐慌、世界大戦、米同時テロを通じて、あるいは闘い、犠牲、後退の中でも、我々の良心が常に勝利してきた。
 このような時にはいつも、我々全員を前へと運ぶため、十分な仲間が集まった。
 そして、私たちは今回も同様に出来るのだ。

民主主義の長大な「実験」

 人々をまとめる方法の一つは、試練を乗り越えるため、互いに協力しようと呼びかけることだ。バイデン氏が挙げた具体例は、日本でもよく知られている。

 日本だと、過去の失敗や混乱は、当時の政権や世の人々の過ちという側面もあるため、国民を鼓舞する材料として使うのは非常に難しい。

 だが、バイデン氏に限らず、歴代の大統領就任演説では過去の危機がよく触れられる。米国という国は、未完成であり、失敗しても常に前進していく存在、民主主義の実験であるという意識がより強いからだろう。

 挑戦の奨励や、失敗への許容度の高さは、米国の科学や技術、ビジネスの強さにもつながっていると考えると興味深い。

 ここで、歴史や文化を感じさせる言葉遣いは “better angels” だ。自分の内なるより良い何か、を指すもので、キリスト教の影響を色濃く反映した表現だ。和訳なら、1月22日付読売新聞の紙面でも使った「良心」が、ぴったりだろう。「心の中の良き魂」など、多様な表現ができる。

 バイデン氏は昨年11月の勝利演説でも “Our nation is shaped by the constant battle between our better angels and our darkest impulses.”(我々の国は常に、内なる良心と暗い衝動の相克で形作られてきた)とこの言葉を使っている。

 もう少し調べてみると、1861年3月に、リンカーン大統領が1期目の就任演説でこの表現に託し、敵ではなく友となろうと呼びかけている。願いむなしく、この直後に南北戦争が起こるが、バイデン氏はこの言葉の選択でも、リンカーンを意識したのかもしれない。

(演説抜粋)
“To all those who did not support us, let me say this: Hear me out as we move forward. Take a measure of me and my heart.
“And if you still disagree, so be it.
“That’s democracy. That’s America. The right to dissent peaceably, within the guardrails of our Republic, is perhaps our nation’s greatest strength.”

(和訳)
 (選挙戦で)我々を支持しなかった方々へ言わせてほしい。これから前に進む中で、私の言うことに耳を傾けてほしい。私のすること、心の内をしっかりとはかってほしい。その上でなお同意しなければ、それでよい。それが民主主義だ。それがアメリカだ。この共和国が許す枠の中で平和的に反対する権利、それがおそらく我々の国の最大の強みだ。

反対でもいい…最低限の一致点を探る

 ある人に反対する意見を持つことと、その人と仲違いをすることはまったく別でなければならない。だが、つい混同してしまうのは人間のさがだろう。

 特に前政権で強まった分断と排除の傾向への懸念と処方箋を、バイデン氏は演説で何度も示しているが、いささか突き放した印象があるのが、中盤のこの一節だ。思い切り意訳すると「まずは聞いてよ。やることも、こと細かくチェックしていいから。それでもだめならしょうがない。それも受け入れるよ」という感じだろうか。

 意見の内容にかかわらず、人を人として尊重する--そんな民主主義の基本を、気負わず現実的に表現している。

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1920566 0 ちょい読み英語 2021/03/20 09:00:00 2021/04/01 16:15:24 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210318-OYT8I50075-T.jpg?type=thumbnail

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