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国を受け継ぐ若者の希望と決意…米大統領就任演説<4>

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(演説抜粋)
“When day comes, we ask ourselves, where can we find light in this never-ending shade?
“The loss we carry. A sea we must wade.
“We braved the belly of the beast.
“We’ve learned that quiet isn’t always peace, and the norms and notions of what ‘just’ is isn’t always justice.”

(和訳)
日が上る時、我々は自問する。どこに光を見いだすのか、この終わりなき陰の中で。
我々が負う敗北、泳ぎ進むべき海。
私たちは野獣の胎内(危険な状況)をくぐり抜けた。
我々は学んだ。静けさは常に平和ではないことを。(その人に)「値する」と判断する基準や意識は、必ずしもいつも正義だとは限らないことを。

厳しい現実の中で未来を信じる

 バイデン大統領の就任式では、鮮やかな黄色のジャケットに身を包んだ詩人アマンダ・ゴーマン(Amanda Gorman)さんが演台に立ち、詩を読み上げた。

 就任式での詩の朗読は、1961年のケネディ大統領が初という。以後クリントン、オバマ、バイデン各氏と続く。詩人は再選時も数えると今回で6人目、22歳のゴーマンさんは最年少だ。

 ゴーマンさんは、ロサンゼルスで育ち、ハーバード大で社会学を学んだ。子ども時代に詩を書き始め、優れた若い詩人を顕彰する賞も受けている。彼女を選んだのは大統領夫人という。

 詩の題は “The Hill We Climb”(我々が登る丘)だ。“The Hill” が呼び起こすイメージはどんなものだろう。一つ参考になるのは新約聖書の『マタイによる福音書』第5章にある “You are the light of the world. A town built on a hill cannot be hidden.”(あなた方は世の光である。丘の上に築かれた街は隠されることはない)だ。

 世を照らすよき人々が住む街は、世界が仰ぎ見る存在になる、という理想郷的な印象から、「丘の上の街」の表現はレーガン大統領を始め、政治の世界でもよく使われてきた。

 ただ、詩では、そこへ至る坂の険しさに焦点を当てる。克服すべき課題は多く、過去から引き継いだ荷は重い。坂の上の高みへ到達するには人々の努力と協力が欠かせない。バイデン大統領の呼びかけと多く重なるが、ゴーマンさんは次世代を担う若者として、しかも肌の色による偏見や差別を受けてきた側としてもなお、“unity”(結束)と “hope”(希望)の力を信じていることが、詩から強く感じられる。

Amanda Gorman recites a poem during the inauguration of Joe Biden as the 46th president of the United States in Washington on Jan. 20.(Reuters file photo)
Amanda Gorman recites a poem during the inauguration of Joe Biden as the 46th president of the United States in Washington on Jan. 20.(Reuters file photo)

 流れるような手の動きや、読み方も表情豊かだ。上の抜粋でも、“justice” は “just-ice” と間を置いて2単語のように発音し、直前の “just is” と呼応させている。この時限りの表現芸術ともいえる。

(演説抜粋)
“We will not be turned around or interrupted by intimidation because we know our inaction and inertia will be the inheritance of the next generation.
“Our blunders become their burdens.
“But one thing is certain.
“If we merge mercy with might, and might with right, then love becomes our legacy and change, our children’s birthright.”

(和訳)
 脅しによって(問題から)目を背けさせられたり、邪魔されたりしない。動かず、動こうとしなければ、それが次世代が受け継ぐものになるから。
我々のしくじりは彼らの重荷となる。
だが、一つ確かなことがある。
もし慈悲の心と力を一つにし、力と正義を合体させれば、愛は私たちが後世に残す遺産、そして変化となり、子孫が生まれながらに持つものとなる。

言葉の響きと意味を巧みに編む

 詩の多様な形式や用法のうち、頭韻(alliteration)と脚韻(rhyme)は知っておきたい。終盤に向かうこの抜粋部分では、両方が特に多用されている。

 初めの連(段落)では “in” の頭韻が連続し、“If we…” の連では、“m” の頭韻が “might” で “t” の脚韻へと流れ、“birthright” で力強く終わる。言葉の意味や響きを多く深く知り、加えて鋭い感覚を持っているからこその技だ。何度も声に出し、音とリズムも感じてみたい。

 一方、詩には若者らしさも垣間見える。一つは自分のことに触れていることだ。現在の米国について、“a country and a time where a skinny Black girl descended from slaves and raised by a single mother can dream of becoming president, only to find herself reciting for one.”(細い Black の女の子、奴隷の子孫でシングルマザーに育てられた子が大統領になることを夢見ることができ、まさに今、その一人のために朗読している国と時代)と自己紹介を交え表現した。ここで “only to” は、「驚くことに」といった意味だ。

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1954244 0 ちょい読み英語 2021/04/03 09:00:00 2021/04/03 09:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/04/20210401-OYT8I50035-T.jpg?type=thumbnail

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