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    インタビュー

    「議論」が子どもたちを変える~「十二人の死にたい子どもたち」原作者・冲方丁さんインタビュー

     映画「十二人の死にたい子どもたち」が2019年1月25日に公開されるのを前に、原作者の作家・冲方丁(うぶかた・とう)さんが読売新聞のインタビューに応じた。集団安楽死のために集まった見知らぬ12人の未成年が、13人目の死体を前に繰り広げる、嘘(うそ)と騙(だま)し合いが交錯する物語だ。「死にたい子どもたち」を題材にした冲方さんに、学校でのいじめやネット心中、SNSの影響など、現代の若者を取り巻く社会について聞いた。(聞き手=読売新聞メディア局編集部・原啓一郎)

    「小説的な映画になった」~堤監督の技術に脱帽

    • 「僕が頭で思い描いていたものより、ずっと上を行く作品だった」
      「僕が頭で思い描いていたものより、ずっと上を行く作品だった」

    ――「十二人の死にたい子どもたち」の映画化、おめでとうございます。作品をご覧になって、いかがでしたか?

     素晴らしかったです。堤幸彦監督が「12人全員を主人公にするというコンセプトでやる」とおっしゃっていた時、「こういう感じになるだろう」と頭で思い描いていましたが、ずっと上を行っていました。12人全員にカメラを振るってすごく難しいと思います。12曲の異なる音楽を足して、ひとつにするようなもの。「映像のマジシャンだな」と思いました。撮影現場を拝見した時、監督は5台のカメラを同時に回して、5つのモニターを同時に見ながら、スタジオに指示するんです。「はい何カメ、はいそっちブレてるよ」って言いながら。

     さらに、撮影と同時に映像を編集し、スタッフで共有していました。それが3~4時間くらいの長さで、試写会で見たものが2時間弱になるんですが、違いが分からないくらいの完成度です。他の映画では、たいがい「ここは苦労して編集したのか」という跡が見えるんですが、全くなかった。監督はあたかも、最初から完成形が分かっていて、その通りにやっただけのように思いました。ただのテクニックではない。もはや特殊能力ですよ。

    ――監督は「面白すぎて人に観(み)せたくないぞ。棺桶(かんおけ)に持っていきたい」とコメントされていました。

     監督は「多様性」「民主主義」「正義とは何か」「日本人とは?」などについて深く考えていて、それらを丁寧にエンターテインメントにできる方です。過度に丁寧に分かりやすくすると、観客の神経を逆なですることがままありますが、堤監督の場合は、(映像化に)必要なものと、監督自身のイマジネーションをいかに正しく伝えるかという点で、観客の想像力が自然と膨らむ作り方をしています。

     わずか2時間という尺の中で、12人の掘り下げを映像でやるんですが、「こういう子どもなんだろう」「この後きっと、こういうふうになるんだろう」と鮮やかに想像させる作りになっていた。本来、それは活字が得意とし、映像が苦手とすることなんですが、この作品は非常に小説的な映像になっていました。

    2018年12月14日 11時30分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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