文字サイズ

    津波対策「複数必要だった」…東電幹部が証言

    • 東京地裁に入る東電の勝俣恒久元会長(26日午前)
      東京地裁に入る東電の勝俣恒久元会長(26日午前)
    • 東京地裁に入る東電の武黒一郎元副社長(26日午前)
      東京地裁に入る東電の武黒一郎元副社長(26日午前)
    • 東京地裁に入る東電の武藤栄元副社長(26日午前)
      東京地裁に入る東電の武藤栄元副社長(26日午前)

     東京電力福島第一原発事故を巡り、検察審査会の起訴議決に基づき業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電の勝俣恒久・元会長(77)ら旧経営陣3人の第2回公判が26日、東京地裁(永渕健一裁判長)で開かれ、同社幹部の証人尋問が行われた。

     公判が開かれるのは昨年6月の初公判以来、約7か月ぶり。3被告側は無罪を主張し、検察官役の指定弁護士と真っ向から対立する構図となっている。

     この日の冒頭、永渕裁判長は、昨年6月30日の初公判から指定弁護士、弁護側との間で進めてきた協議結果を説明。「審理計画について当面のメドが立った」と述べ、二十数人に上る証人を採用したことや、6月までの審理計画を明らかにした。関係者によると、証人は、事故前に東電社内で津波対策を検討した社員や津波のメカニズムに詳しい大学教授ら。

     その後、事故後に東電の事故調査報告書を取りまとめた同社幹部の証人尋問が始まった。この幹部は入社以来、技術系社員として原発関連業務に携わり、2011年7月からは原子力担当部長として同報告書作成のための社内調査を取り仕切っていた。

     幹部はグレーのスーツにネクタイ姿で、緊張した面持ちで証言台に座った。

     指定弁護士から巨大津波による原発事故を未然に防ぐための方策を尋ねられた幹部は、まず、「今回の事故の大きな反省点は、事故の対策をしても、それを上回る災害が来ると考えるべきだったこと」と指摘した。

     その上で、〈1〉原発の敷地内に津波が遡上そじょうしないよう防潮堤を設ける〈2〉巨大津波によって敷地が浸水した時に備え、建物の空気口を壁などで囲う〈3〉電源盤などの重要設備に通じる扉に防水対策を施す――ことなどを挙げ、事前に複数の対策を講じるべきだったと話した。

     また、これらの対策をしても、さらに想定を超える巨大津波が襲来した場合に備え、「高台に消防車や電源車などを待機させておくべきだと思う」とも述べた。

     公判では、〈1〉巨大津波を予見できたか〈2〉予見できた場合、事故を防ぐ対策を取れたか――が争点。指定弁護士は初公判で、東電は08年3月、福島第一原発に最大15・7メートルの津波が襲来する可能性があるとの試算結果を子会社から得ており、「巨大津波を予見できた」と指摘。「適切な対策を取っていれば事故は防げた」と主張した。

     これに対し、弁護側は、震災で襲来した津波の規模は試算結果を超えるもので、「事故は防げなかった」などと述べた。

     強制起訴されたのは、勝俣被告のほか、原発担当役員だった武黒一郎(71)、武藤栄(67)の両元副社長。起訴状では、3人は10メートル超の津波襲来による事故を予見できたのに対策を怠り、震災の津波で起きた原発事故により、近くの病院の入院患者ら44人を死亡させたなどとしている。

    2018年01月26日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    PR
    今週のPICK UP
    PR
    今週のPICK UP