塀の中のおばあさん(6)付き添われてお風呂
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冬場は週2回、夏場は週3回。受刑者は工場での作業中、交代で入浴する。大浴場には大きな風呂が二つあり、周りを50個ほどのシャワーが囲む。入り口には監視台もある。
入浴時間は15分間。その間に湯船につかり、洗髪も済ませる。ドライヤーはないので、ぬれた髪はタオルでよく乾かす必要がある。
認知症や
女子刑務所には認知症や摂食障害など難しい課題を抱えた人が多い反面、職員は経験の浅い若手が多い。そのため、国は2014年度から「女子施設地域連携事業」を始め、医療・福祉・介護関係者らに協力を求め、処遇の充実を図っている。笠松刑務所でも15年度からこの事業を始め、県の介護福祉士会を通じて専門職に来てもらっている。
この日、個別入浴したのは6人。手押し車を使っている人、おむつや尿パッドをつけている人、麻痺で着替えに1時間近くかかる人などさまざまだ。
「あったまったね。自分で足をマッサージしてみて」。なるべく本人にやらせるため、時間がかかる。
寒さ対策で下着を何枚も重ねている人もいる。私物の下着は何枚着てもよいが、官費による下着を貸与される場合は「全体で4枚まで」など細かい規則がある。
入浴後、認知症の受刑者のリハビリが始まった。計算ドリルをしたり、崩さないよう紙を積み上げるゲームをしたり。介護福祉士が2人がかりで受刑者1人に30分以上、向き合った。「認知症の進行を少しでも食い止められたらと思ってやっています。高齢化の進行を実感します」。当番の介護福祉士の一人、渡辺みゆきさん(50)がそう話す。
(文・猪熊律子、写真・山岸直子)
(続く)