トランプ大統領に感謝? 「東京会議」の危機感と楽観
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3月3~5日の3日間、世界10か国の有力シンクタンクの代表が東京都渋谷区の国連大学に集まり、欧州の政治混乱や米国でのドナルド・トランプ大統領の誕生を踏まえ、自由と民主主義は危機にあるのか否かを話し合った。議論の結果は5月にイタリアで行われる主要国首脳会議(サミット)への緊急メッセージとしてまとめられ、岸田文雄外相とドメニコ・ジョルジ駐日イタリア大使に手渡された。一連の政治の変化の底流には、既存政治家、官僚、そして知識層などの「エスタブリッシュメント(指導層)」に対する反発があったとも言われる。そうした批判の対象となった知識層が、どんな危機感を共有し、何をG7(先進7か国)に求めたのか。読売新聞編集委員の伊藤俊行が「東京会議」を読み解いた。
「トランプ現象」が民主主義を強くする?

就任後も物議を醸す発言がやまないトランプ米大統領こそが、民主主義を強くする触媒になるかもしれない――。
G7にインド、インドネシア、ブラジルの新興3か国を加えた世界10か国の有力シンクタンク代表が集結した東京会議では、トランプ現象に対する危機感と、これを乗り越えられるという楽観が共有された。
東京会議は、日本の言論NPO(工藤泰志代表)が2016年のブレグジット(英国のEU離脱)や米大統領選の前から構想を温め、準備を進めていたものだ。
言論NPOは、米国の外交問題評議会が12年に創設した世界20か国のシンクタンクを招いたCoC(カウンシル・オブ・カウンシルズ)に日本代表として参加している。毎年、世界の課題をめぐり議論を交わすCoCに触発され、自由と民主主義の未来像に力点を置いた国際会議として構想されたのが、東京会議だった。
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