がん新薬の「実力」 効果を最大限高める方法とは

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 がんの治療は、「オプジーボ」など新しいタイプの薬によって、革新がもたらされると言われている。ただ、新たな治療薬も、決して万能ではない。しかも、オプジーボをめぐっては、年間3500万円にのぼる高額な薬剤費が問題となり、2月から薬価が半額に引き下げられたことは記憶に新しい。薬の効果と限界を見極め、より良いがん治療とケアに生かすにはどうすればよいのか? 読売新聞の長期連載「医療ルネサンス」を長く担当した読売新聞調査研究本部の田中秀一主任研究員が解説する。

注目される「免疫チェックポイント阻害薬」

今までの抗がん剤とは全く異なる作用を持つ「オプジーボ」
今までの抗がん剤とは全く異なる作用を持つ「オプジーボ」

 小野薬品工業(大阪市)が開発したオプジーボ(成分名・ニボルマブ)は、がんを攻撃する免疫の力を強める薬で、2014年に皮膚がんの一種である悪性黒色腫の抗がん剤として承認、保険適用された。その後、肺や腎臓のがんでも使用が認められた。肺がんには、米製薬大手メルクが開発した同じ種類の新薬「キイトルーダ」(成分名・ペムブロリズマブ)も昨年12月に承認された。他の製薬会社も同様の薬を開発中だ。

 「免疫チェックポイント阻害薬」と呼ばれるオプジーボが注目されるのは、今までの抗がん剤とは全く異なる作用を持つからだ。

 免疫とは、細菌やウイルスなどの異物を攻撃して排除する体の仕組みを言う。免疫細胞は、がんも異物とみなして攻撃する。しかし、がんは、免疫細胞の表面にたんぱく質を取り付かせることで、免疫細胞による攻撃にブレーキをかける能力を持っている。体には免疫力が備わっているのに、がん細胞が増殖を繰り返してしまうのは、免疫細胞の能力を損なうためだ。

 免疫チェックポイント阻害薬とは、免疫にストップをかけるブレーキを解除して、免疫細胞ががん細胞を攻撃できるようにする薬だ。ちなみに免疫チェックポイントとは、攻撃にブレーキをかける免疫細胞上の分子を指す。がんの撃退に待ったをかける分子の動きを阻み、体の免疫力を活用してがんを攻撃させる薬――が、免疫チェックポイント阻害薬なのだ。

 今までの治療薬が、がん細胞を直接攻撃するものだったのに対し、この薬は人体が本来持っている免疫の力を活用する点に特色がある。

 多くのがん専門医は「オプジーボに代表される免疫チェックポイント阻害薬が、がん治療を大きく変える」と期待している。患者数の多い肺がんを例にとって、がん治療薬の歴史を振り返りながら見てみよう。

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