がん新薬の「実力」 効果を最大限高める方法とは

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延命効果ある早期の緩和ケア

がん治療では今後、緩和ケアの充実が重要な課題になってくる(写真はイメージ)
がん治療では今後、緩和ケアの充実が重要な課題になってくる(写真はイメージ)

 イレッサ、オプジーボ、キイトルーダ……。医療現場は、新薬の導入を競っている。だが、患者のためには、ほかにもやるべきことはある。前出の勝俣・日本医大教授が勧めるのが、緩和ケアの充実だ。

 緩和ケアというと、抗がん剤などの治療が効果を失い、手立てがなくなった後の末期に行われる治療というイメージが強いが、そうではない。厚生労働省も、「がんとして診断されれば早期に緩和ケアを実施すべきだ」としている。

 早期の緩和ケアとは何か? それは、(1)医師と患者の信頼関係構築(2)治癒が困難だという病状の理解(3)治療に関する意思決定への支援(4)患者の希望を実現することの支援――などを含む。まさに、患者に対する重層的かつ多面的な支援と言えるだろう。

 米国ハーバード大学の興味深いデータがある。

 同大学腫瘍内科の医師らが、従来の抗がん剤治療をした患者と、抗がん剤治療に加えて早期の緩和ケアを行った患者のケースを比較する臨床試験を実施した。その結果、緩和ケアを行った患者の方が、生存期間が2.7か月長かった。早期の緩和ケアには、延命効果もあるのだ。オプジーボの延命効果が約3か月であることを考えれば、それに匹敵する立派な治療効果だと言える。

 緩和ケアは、緩和ケア専門医ばかりでなく、訓練を受けた看護師らによるチーム医療が必要になる。ただ、日本国内で、こうしたチーム医療を実践している病院は多くない。さらなる普及が期待されるところだ。

 がん治療は、分子標的薬という「外からの剣」に、免疫チェックポイント阻害薬という「内からの剣」が選択肢に加わる可能性を得た。これになぞらえれば、緩和ケアは患者にとって「心の盾」だと言えるだろう。医療現場は、高額な新薬の導入にやっきになるばかりでなく、がん患者の心理に寄り添う緩和ケアにも目を向ける必要がある。

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プロフィル
田中 秀一( たなか・ひでかず
 読売新聞調査研究本部主任研究員。専門分野は医療、社会保障。医療情報部(現医療部)長、社会保障部長、論説委員、編集局デスクを経て現職。長期連載「医療ルネサンス」を18年担当し、現代医療の光と陰に目を凝らしてきた。「納得の医療」「格差の是正」を考えながら取材を重ねている。

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