地方自治体の「おもしろ動画」がもはや笑えないワケ

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「武士のお茶」になる可能性

山間に広がる美濃白川茶の畑(岐阜県東白川村提供)
山間に広がる美濃白川茶の畑(岐阜県東白川村提供)

 岐阜県に、「美濃白川茶」という約800年の歴史を誇るお茶があります。

 このお茶について地元の方々は悩んでいました。

 「霧深い山の奥で栽培されていて注目されない」

 「どんなにがんばってもブランド化なんて無理」

 「若い人は都会へ出ていき、後継者も育たない」

 しかし、このお茶には大きな可能性を秘める二つのキーワードが隠れています。「美濃」と「800年の歴史」です。美濃といえば戦国武将の斎藤道三の地。娘の濃姫や婿の織田信長も連想することができます。

 ここから「未来へ向けて地域ストーリーを紡ぐ演出」を仕掛けるのです。

 800年の歴史を誇る「美濃白川茶」は、約400年前の戦国時代に、すでに栽培されていたことになります。そう、織田信長も飲んでいたかもしれません。

 ただ、この歴史を史実として証明はできません。しかし、未来に向けて自由に想像してもらうことはできます。そこで私は「一般的な姉さんタスキではなく、戦国武将のコスチュームで茶摘みをする」という演出を提案しました。

 八十八夜(立春から88日目、通常は5月初旬)には、必ず新茶の茶摘み風景が風物詩として取り上げられます。その中に、ユニークな新茶の風景として「戦国武将の茶摘み」を話題として提供するのです。

 一風変わったそのビジュアルは、おそらく「へぇ、おもしろいお茶があるものだ」といった印象を残すでしょう。

世界の注目を集めることもできる

 PR動画を作るなら、八十八夜の茶摘みとともに、織田信長や濃姫、斎藤道三が親子で茶摘みをする映像はいかがでしょう。「美濃白川茶」は「武士のお茶」というイメージの定着に期待できそうです。

 武士(サムライ)といえば日本の象徴の一つ。「武士のお茶」は、世界オンリーワンの存在となりえます。つまり、「美濃白川茶」は世界の注目を集めることが可能になるのです。

 このようにPR動画は、地域の未来を描くストーリーが明確であれば、「そのままを世界にアピールできる」効果的なツールになります。

 ただ、そのストーリーがなかなか描けないために迷走する地域が多いのでしょう。

 この機会に、どの地域にも必ずあるはずのオンリーワンの魅力を探してほしいと思います。

 そして、それを起点に「地域にどんなイメージを持ってほしいか」を考えてPR動画に描いてみるのです。

 きっとこれまで気づかなかった地域の可能性が目の前に現れるでしょう。

プロフィル
殿村 美樹( とのむら・みき
 PRプロデューサー。京都府宇治市出身。TMオフィス代表取締役。同志社大学大学院ビジネス研究科「地域ブランド戦略」教員。関西大学社会学部「広報論」講師。「ひこにゃん」(滋賀県彦根市)、「うどん県」(香川県)など地方のPR戦略を手がけてきた。「今年の漢字」もプロデュース。主な著書は「テレビが飛びつくPR」(ダイヤモンド社)、「ブームをつくる」(集英社新書)など。

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