実は、潔癖性が「キレイ好き」じゃすまない危険

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行動療法~嫌なことを選んでする

素手で握られたおにぎりは食べられないという人も(画像はイメージ)
素手で握られたおにぎりは食べられないという人も(画像はイメージ)

 嫌な考え、恐ろしい考えがふと浮かんだとき,避けたり、洗ったりすれば楽になります。ただ、これを繰り返すと、不安や恐怖はかえって強さや頻度を増してくるようになります。

 そこで、また消すことを繰り返すと,悪循環に陥ってしまいます。治療は、この悪循環から逃れることです。

 そのためには、一度は苦しみを覚悟する必要があります。このような逆説的なやり方を、「エクスポージャーと儀式妨害」(Exposure & Ritual Prevention、 ERP)と呼びます。

 今のところ、手洗いの回数を減らしたり、トイレットペーパーを短くしたりするには、この方法が最善と考えられます。

 主婦のAさんの場合、海外出張から帰ってきた夫を娘と空港で出迎え、仲の良い家族のようにハグをして、家に帰ってきてからも着替えず、寝室で一休みします。そして、夕食を家族で囲み、それからベッドに入るまで一切、手洗いをしないようにします。こうした行動がERPです。

自分にとって大切なものは?

 Aさんに、この行動療法のことを話してみました。

 「妊娠を考えているので薬は嫌。行動療法は極端すぎる。感染症が気になり始めたのはここ最近の話だし、私が2人目の子どもを諦めれば、夫の海外出張も娘の行事も制限しなくて済むと思う。確かに手洗いや歯磨き、トイレで使う紙も多いけれど、誰かに迷惑をかけたり、自分が困ったりしたことはない。単なる潔癖性だと思うから、自分としてはこのままで良い」

 私はAさんの潔癖さ、真面目さを褒めながら、同時にお嬢さんの将来の心の問題も心配していることを伝えました。Aさんも気になるようでした。

 何回もしつこく手洗いを繰り返し、トイレットペーパーをいくらでも使ってしまう潔癖性は、蛇口をひねればいつでもきれいな水で手を洗え、トイレットペーパーがなくなればコンビニなどですぐに買える日本にいるからできることです。

 つまり、“平和の病気”と呼ぶことができるかもしれません。

 こうした状況に慣れきってしまっている私たちにとって、潔癖性や強迫症はいくつかの疑問を投げかけてくれます。

 「潔癖さを保つ努力は褒めるに値するけれど、それは何を守るため?」

 「大切にしている人に、本当はどんな人生を歩んでほしいのですか?」

 「自分にとって一番大切なものは?」

【参考文献】Trump:: The Art of the Comeback(1997、Donald J.Trump)

【強迫症の治療の詳細】「図解やさしくわかる強迫性障害」

 

【あわせて読みたい】
・実は、交通事故より多い家庭内の死亡事故
・名医はどこ…?新生活に効く病院の見つけ方
・日々疲れ果ててしまうのは「感情労働」のせい?

プロフィル
原井 宏明(はらい・ひろあき)
 岐阜大医学部卒業,米ミシガン大文学部に留学(文化人類学専攻)。国立菊池病院臨床研究部長、ハワイ大学精神科留学を経て、2008年から医療法人和楽会 なごやメンタルクリニック 院長。主な著書に、「『不安症』に気づいて治すノート」(すばる舎)、「うつ・不安・不眠の薬の減らし方」(秀和システム)などがある。なごやメンタルクリニックでの治療については こちら 。なごやメンタルクリニックでの原井宏明院長の新患受付は17年9月末、3日間集団治療については11月で終了。

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431568 0 深読み 2017/04/13 10:10:00 2017/04/13 10:10:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20170412-OYT8I50032-T.jpg?type=thumbnail

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