ヒット商品続々・シャーペンはどこまで進化したか

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多機能ペンの先駆け「シャーボ」の40年

 シャープペンシルは、軸を回すと芯が出る「繰り出し式鉛筆」として、1830年代に米国で初めて発売された。日本では1915年、後に家電メーカー「シャープ」を創業した早川徳次氏が、国産第1号となるシャープペンシルを製作している。ただ当時は、芯の直径が1~1・5ミリと太かったことなどから、あまり普及しなかった。60年代に入ると、0.3~0・5ミリの細い芯が開発され、ノックボタンを押すだけで芯を繰り出せるノック式のシャーペンが登場したこともあって、学生らの間に急速に広まっていった。

1977年に発売されたゼブラの初代シャーボ(写真上)とシャーボX
1977年に発売されたゼブラの初代シャーボ(写真上)とシャーボX

 シャーペンの進化の歴史を語るうえで欠かせないのが、1本でシャーペンとボールペンを切り替えて使えるゼブラの多機能ペン「シャーボ」だ。77年の発売から今年で40周年を迎え、累計販売数が7000万本に達するロングセラー商品となっている。

 シャーボが誕生する以前のゼブラは、低価格帯のボールペンや油性マーカーなどが主力商品で、シャープペンシルは商品化されていなかった。当時、同社で商品デザインを担当していた渋谷久敏さんは「ゼブラと言えば、『安いボールペン』のイメージだった。だから、シャープペンシルを発売するのなら、付加価値が高く、世の中にアピールできる商品を出したいというのが、当時の社長の考えだった」と振り返る。

 検討の末、回転式2色ボールペンの製造技術を生かして、シャーペンとボールペンの複合ペンを作ることに。この時、回転式2色ボールペンの“不良品”が開発のヒントになった。

 ペンを組み立てる際、上軸と下軸の接合部分に隙間ができてしまい、不良品として処分されるものが少なくなかった。「その隙間を、シャーペンをノックするスペースに利用すれば、お客さんにとって使いやすい複合ペンができるのではないか」。同社で回転式2色ボールペンの開発を手掛け、シャーボの開発にも携わったゼブラOBの外山松平さんに、そんなアイデアがひらめいた。

 ペンを左右に回すと、シャーペンとボールペンが切り替えられる。シャーペンとして使っている時は、上軸を上から押せば下軸との隙間が縮まって芯が繰り出される。そんな画期的な機構を持つ複合ペンは、設計開始からわずか4か月後に販売が開始された。

 俳優の小松方正さん(故人)が「右へ回すとシャープペンシル。左へ回すとボールペン」と重厚な口調で語るテレビCMが話題になったこともあって、当時で3000円という高価格にもかかわらず、シャーボは発売から4か月で約80万本を売り上げる異例の大ヒットを記録した。

 現在は、シャーペンの部品とボールペンの替え芯を自由に組み合わせてオリジナルのペンをカスタマイズできる「シャーボX」(定価:3000円=税別)などが売れ筋だ。また、シャーボでは、シャーペンの芯を繰り出す機構のコンパクト化にも成功しており、その技術は、ペン先などに芯が折れない機能を搭載して大ヒットした「デルガード」(定価:450円=税別)にも継承されている。


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431212 0 深読み 2017/05/11 09:00:00 2017/05/11 09:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20170510-OYT8I50041-T.jpg?type=thumbnail

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