“SNS地獄”で疲れ切った中国人

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広がる“スマホ疲れ”

SNSのやりとりで1日に何時間も費やす人も
SNSのやりとりで1日に何時間も費やす人も

 このように、スマホやSNSの発達によって、5年前にはとても想像できなかったほど中国社会は飛躍的に便利で快適になった。しかし、冒頭の徐さんの表情はどうも浮かない。そのうち、手元のスマホをじっと眺めながら、小さな声で愚痴を言い始めた。

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 「自分はスマホを2台持っているのですが、どちらもフル稼働ですよ。メッセージが届くたびに振動があるので、びくっとするんです。メッセージを開いて、すぐに返信を送ってホッとすると、また返信が来ちゃう(笑)。その繰り返しです。自分も中国人なので、比較的せっかちな性格ではありますが、大勢の人とやりとりしていると、それだけでもう一日が終わってしまう。何かをじっくり思考する時間が取れず、ちょっとイライラしてしまうんです」

 徐さんは生真面目な性格なのだろう。表情には疲れが色濃くにじみ出ていた。

 徐さんには700人以上の「微信友達」がいる。本人は「会社員としては普通。特に多い方ではない」と言うが、この1~2年、仕事関係で知り合った人が雪だるま式に増えていき、「まだまだ増えていきそうです」と憂鬱(ゆううつ)そうだ。

 人数が増えたので、プライベート用のスマホと仕事用を分けることにした。微信はツイッターなどと同様、セキュリティーが厳しいので、ひとつのIDで複数の端末にログインすることは難しい。そこでもう1台持ち、IDも使い分けることにしたのだが、大変さは変わらないし、いつもカバンやポケットなどに携帯しているせいか、気になって仕方がない。

「いいね」一つで嫌味を言われ

 40代前半で中小企業を経営する女性、郭琳さんも同じようにSNSに振り回され、疲れ切っているひとりだ。郭さんの微信友達は約1500人。仕事関係者が中心だが、子どもの学校関係、ママ友、両親や親戚、学生時代の仲間なども含まれる。

 仕事とプライベートを分けることはしていないが、自分の投稿は「見られる人」を制限し、友達の投稿も一部を受信しない(見えない)設定にした。あまりにもタイムライン(中国ではモーメンツという)に流れてくるものが多すぎて煩わしい上、自分のタイムラインを見られたくない相手もいるからだ。

 郭さんが特に神経を使っているのが、お得意様関係のタイムラインだ。フェイスブックなどと違い、微信の場合、たとえば郭さんの友人、Aさんの投稿に郭さんが「いいね」を押したら、郭さんとAさんの共通の友人にしか、それが見えないシステムになっている。

 郭さんの友達でも、Aさんと関係ない人であれば、その「いいね」は見えない。しかし、郭さんの業界関係者はみんな微信でつながっているため、共通の友達はかなりいる。そのため、郭さんは最初のうち仕事関係者のほぼ全員に「いいね」を押していたが、時間がなくなってきて、適当に「いいね」を押すように。だが、それがきっかけで、あるとき、あまり「いいね」を押さない相手から嫌味をいわれてしまった。共通の友人にたまたま押した「いいね」を見たからのようだった。

 「それ以来、仕事関係者には誰にも『いいね』を押さなくなったんです。誰かを立てれば誰かが立たずで、もう面倒になって疲れ果ててしまいまして。だって、一日のうち3~4時間はSNSをやっているのですから……。良好で親密な関係を築きたいと思ってこれまで微信をやってきたのですが、最近はメッセージ機能だけを使うようにしています」(郭さん)

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