「てるみくらぶ」のような格安ツアーはもう限界?

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【2】崩れたインターネット販売の優位性

(画像はイメージ)
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 「てるみくらぶ」は、ハワイを中心に一都市滞在型海外パッケージツアーのオンライン予約・販売で成長してきた。大手旅行会社で催行される周遊型の海外旅行商品ではなく、一都市を単純往復して滞在するというツアー商品に特化し、インターネット販売のコスト優位を生かして格安の価格で取り扱いを伸ばしたのが特徴だった。

 しかし、以下の三つの理由から「てるみくらぶ」の商品優位性が揺らいでいく。

〈1〉航空機の機材が小型化

 ホノルル路線でボーイング747(通称:ジャンボジェット)を使用し、一度に400人程度の大量輸送が可能であった時代は、需要の変動もあって空席ができやすかった。航空輸送サービスは、一般の商品とは違い在庫の利かない商品であるからだ。

 一方で、運航コストは乗客の数によってそれほど変わるものではない。そのため、空席で飛ばすより旅行会社への卸値を下げてでも一定の売り上げを確保する方がよい、と航空会社は考えた。

 しかし、航空会社が収益性を重視するようになると、過去の実績に基づいた需要予測が実施され、それに応じて運賃の最適化(レベニューマネジメント)が行われるようになる。当然、運航コストとの整合性も議論され、ボーイング747は引退し、航空機の機材も小型化していった。

 こうした流れの中で、「てるみくらぶ」のように、オフシーズンの空席をパッケージ商品の主流に据えていた旅行会社は、座席そのものの仕入れが難しくなった。

〈2〉増大する中国など新興国の海外旅行需要

 ハワイ、グアム・サイパンなどの観光地は、近年、中国、韓国、台湾をはじめとするアジア諸国からの旅行者が増えているため、ホテルの客室が確保しにくくなっている。日本の旅行会社のH.I.S.がホノルル市内で走らせている市内循環のトロリーバスでは、ハングルやタイ語が飛び交っており、アジア諸国の需要の旺盛さがうかがえる。

〈3〉インターネット販売の多様化

 「てるみくらぶ」はインターネット販売によって成長した。当初は様子見であった大手が同様のサービスを展開し始め、インターネットのみで販売する商品も扱うようになると、「てるみくらぶ」の優位性が揺らいできた。国内外のオンライン旅行会社(OTA)との競争激化でも収益性が低下したと考えられる。

 また、航空機などの交通手段とホテルなどの宿泊施設を、一定の条件内で自由に選択できる「ダイナミックパッケージ」と呼ばれる旅行商品が各社で販売されるようになる。日本航空や全日空も自社サイトから、ダイナミックパッケージが販売できるサイトにリンクしており、インターネット販売の多様性への対応も求められるようになった。

ビジネスモデルに変化

 こうした環境の変化が、「てるみくらぶ」のビジネスモデルに変化をもたらすことになり、新聞広告でフルパッケージ(ホテルだけでなく、観光・食事つきのパッケージツアー)の海外旅行商品を販売するようになった。

 この手法は「メディア販売」と呼ばれ、トラピックス(阪急交通社)、クラブツーリズム(近畿日本ツーリスト)、旅物語(JTB)など大手がシェアを握っており、その一角に食い込むには「格安」を売りにするしかなかったのであろう。例えば、「インドの7つの世界遺産を巡るツアー6日間」が6万9800円~、「韓国の世界遺産を巡るツアー4日間」が2万9800円~、となっていた。

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