「てるみくらぶ」のような格安ツアーはもう限界?

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航空機もホテルも自社調達

(画像はイメージ)
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 7位になったTUI(トゥイ:Touristik Union International)はドイツに本拠地を置く旅行会社グループである。約140機の保有機でリゾート路線に運航する航空会社、13(せき)のクルーズ客船、世界各地に300以上のホテルを抱える企業を傘下に置いている(JTB総研)。

 航空機、ホテルなどを自社で所有し、それにより収益性を高める「垂直統合型」といわれるビジネスモデルで、旅行商品造成のための仕入れを他社に頼らないところに特徴がある。

 日本のH.I.S.もタイにチャーター専門のアジア・アトランティック・エアラインを有し、オンシーズンの北海道などにタイ人の旅行客を運んでいる。H.I.S.は、〈1〉経済の拡大が見込まれ、海外旅行マーケットが育つ環境にある、〈2〉良好な対日感情を維持している、〈3〉ブランド力のある地場の大手旅行会社が育っていない――という三つの点から、タイ、インドネシア、ベトナム3か国を重視しており、H.I.S.ブランドでグローバル経営に乗り出している。(詳細は、高橋一夫編著『1からの観光事業論』2016年、碩学舎)

 こうした例は、業界を取り巻く環境の変化が、企業間で「違い」をもたらし、安売りだけの価格競争から抜け出したことを示している。

何をするか、何をしないのか

 世界の上位3社は、従来の店頭販売、法人営業、メディア販売を行うことなく、個人向けのインターネット販売に特化して、資源を投入している。BTMを取り扱う4社は、法人の業務出張に絞り、必要な技術開発などに注力している。

 一方、TUIは、他の旅行会社が持たない航空機やホテル、クルーズ客船を所有し、旅行素材の仕入れ、旅行商品の中身で違いを出している。一般の旅行会社とは異なり、競争優位の源泉となる経営資源を持っているところに強みがあり、他社が真似(まね)できるビジネスモデルではない。

 「てるみくらぶ」のように、インターネット販売がうまくいかなくなったからメディア販売を行うのではなく、「何をするか、何をしないのか」をはっきりとさせている。他社とのポジショニングの違いを明らかにする戦略をとっているといえよう。

 「てるみくらぶ」の経営破綻をきっかけに、旅行業界は自社の戦略について改めて考えなければならない。

プロフィル
高橋 一夫
 1959年生まれ。近畿大学経営学部教授。専門は観光マーケティング、観光事業論、地域ブランド論。大阪府立大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。1983年JTB入社。コミュニケーション事業部長などを歴任。07年流通科学大学サービス産業学部教授。2012年4月から現職。スポーツコミッション関西の幹事として「関西ワールドマスターズゲームズ2021」を招致。

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『旅行業の扉』
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