「はらぺこあおむし」世界じゅうで人気のワケ

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日本の文化から影響を受けた

――ご自身の名前を冠したミュージアムを作られました。日本を訪れたのがきっかけと聞いていますが、具体的にはどんなことがあったのですか?

 1992年に日本を訪れた時、「いわさきちひろ美術館」を訪ねました。とても美しく、アメリカで絵本美術館を作るというインスピレーションを得ました。

――本展では、日本の和服にインスピレーションを受けた作品「キモノ」などがありますが、日本の文化をどのように感じていますか?

 日本の文化には歴史があります。私は版画や書道など、すべてが好きです。もちろん日本人も。昔の生活だけではなく、現代の生活も好きですね。私のアシスタントを25年間務めている井上さんも日本人で、彼女の影響もあります。現代の日本のデザインはシンプルではっきりしていますよね。

――絵本作家のいわむらかずおさんとは、2001年に「どこへいくの? To See My Friend!」を共作するなど、交流がありますね。

 彼のことを同僚だと思っていますし、尊敬しています。さきほど館内を歩いている時、僕の方が日本的で、彼の絵の方がヨーロッパっぽいって話していたんですよ。

キリギリスは死なせないほうがいい

――絵本「エリック・カールのイソップものがたり」が日本で出版されています。(アメリカでは1980年に出版)。「アリとキリギリス」は、キリギリスが凍え死んでしまうお話が知られていますが、ここではキリギリスがアリの家に入れてもらう結末になっています。

 死なせないほうがいいと思ったんです。その結末が好きじゃなくて。昔から残酷なエンディングだったと思っていました。

――これから取り組んでみたい作品はありますか?

 しばらくは何もしたくないですね。最近は絵本を作らず、「アートアート」という美術作品を手がけています。この間は、モランディの絵へのオマージュとなる作品を制作しました。パウル・クレーへのオマージュとなる作品は、12~14点ほど作りました。

クレーへのオマージュというのは、クレーを描いているわけではありません。私もクレーも天使を扱っています。クレーは天使を描いている時に死を覚悟していました。私も、もうすぐ88歳になります。永遠に生きられるわけではありません。これらの作品は子どもたちに何かを伝えたり、喜ばせたりするというより、自分のためにやっています。

――カールさんにとって、絵本を作ることはどんな経験ですか?

 充実したキャリアを残せたと思っています。仕事は祈りに似たようなもの。周りの世界がすべてシャットアウトされて、自分だけの世界になります。

※年齢はインタビュー当時


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エリック・カール(Eric Carle)87歳(米絵本作家)

1929年、米ニューヨーク州シラキュースでドイツ人の両親のもとに生まれる。6歳の時、家族と共にドイツに移住。16歳でシュツットガルト州立芸術アカデミーに入学し、グラフィックデザインを学ぶ。卒業後、ドイツでポスターを手がけるなどの活動の後、1952年にニューヨークに渡る。絵本作家レオ・レオニとの出会いをきっかけに、ニューヨーク・タイムズのグラフィック・デザイナーとして働く。ビル・マーチンの子ども向けの文章に挿絵を頼まれたのを機に絵本作家の道を歩み始める。主な代表作に「はらぺこあおむし」(1969年)、「パパ、お月さまとって!」(1986年)など。2002年、米マサチューセッツ州に「エリック・カール絵本美術館」を創設。


エリック・カール展 The Art of Eric Carle

会期:4月22日(土)~7月2日(日)

会場:世田谷美術館(東京・砧公園)

開館時間:午前10時~午後6時 ※入館は閉館の30分前まで

休館日:月曜日 

観覧料:一般1200円ほか

【主催】読売新聞社、エリック・カール絵本美術館、世田谷美術館

【協賛】大日本印刷

【協力】日本航空、偕成社、コスモマーチャンダイズィング

問い合わせ:03・5777・8600(ハローダイヤル)

展覧会ホームページ: http://ericcarle2017-18.com/

プロフィル
山口 千尋(やまぐち・ちひろ)
 読売新聞文化部記者。2007年に入社。東北総局などを経て、17年4月から文化部で絵本や児童書などの取材を担当、国内外の絵本作家の取材を行っている。

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