19連勝の藤井四段、プロはどう見ているのか

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最初の好敵手は祖母

2016年9月、四段昇段を決め、記者会見する藤井
2016年9月、四段昇段を決め、記者会見する藤井

 ここで、藤井のこれまでの歩みを紹介しよう。藤井は2002年7月19日、愛知県瀬戸市に生まれた。ちょうど日韓共催のサッカーW杯が開催された年だ。父親はサラリーマンで母親は専業主婦。4歳上の兄が1人いる。ごく普通の家庭といってよいだろう。

 藤井は3歳の時、スイス製の知育玩具である「キュボロ」に夢中になった。溝や穴が彫られた木製の立体を組み合わせ、上から球を転がしていくものだ。うまく組み上げ、上から下まで道筋をつけるには、大人でも難しいパズル的な思考が要求される。それを3歳の藤井は、すいすいとやってのけた。

 藤井の幼少時の天才ぶりを示すこのエピソードが広まるにつれ、キュボロはたちまち品切れになった。現在、購入するには半年待ちの状態だという。

 将棋を覚えたのは、5歳の時。教材などを手がける出版社が販売する「スタディ将棋」で遊んだことがきっかけだった。藤井の最初の好敵手は祖母だった。将棋は勝てば面白くなり、さらに強くなる。祖母らに勝てるようになった藤井は、近所にあった将棋教室に通い始める。

 藤井の幸運のひとつは、この教室の先生が指導に熱心であり、同じ年頃の一定以上の強さのレベルの子どもたちと、多く指す機会に恵まれたことにある。

 小学1年の終わり頃には、実力はアマチュア初段ほどになっていた。そこで藤井は、後に師匠となる、杉本昌隆七段と出会う。藤井少年は、まだそれほど強かったというわけではない。しかし、指導対局を指してみた杉本は少年のあまりの才能に驚嘆した。

 藤井は詰将棋を解くのが好きで、正解を見つけるまでの時間も速かった。小学2年の時には、詰将棋の解答の速さを競う「解答選手権」で、プロ棋士やアマチュア強豪にまじって参加し、好成績を収めている。

最年少デビュー、止まらない勢い

デビュー戦で加藤一二三九段(手前)を破る(2016年12月24日)
デビュー戦で加藤一二三九段(手前)を破る(2016年12月24日)

 杉本が見抜いた通り、藤井は驚異の成長を遂げていく。プロを目指すことを決めた藤井少年は、小学4年の時、杉本を師匠として棋士の養成機関である「奨励会」の試験を受け、合格した。6級からスタートして、5級、4級、3級、2級、1級と順調にステップアップしていく。

 小学6年の時には、史上最年少で初段に昇段した。早熟であることがすなわち、その才能の証明となる将棋界において、藤井の異例のスピード記録は話題となった。また詰将棋解答選手権でも優勝。いずれも空前の記録であり、絶後となる可能性も高い。

 2016年、中学2年の時に、難関として知られる、三段リーグに初めて参加した。29人の三段が18回戦を戦って、昇級できるのは、基本的に上位2人のみ。そこを藤井はわずか1期で突破。プロ棋士として認められる、四段に昇段を決めた。

 藤井の14歳2か月での四段昇段という記録は、加藤一二三九段がもつ史上最年少記録(14歳7か月)を62年ぶりに更新するものだった。

 2016年12月24日、藤井はデビュー戦を戦った。竜王戦6組1回戦で、相手はその加藤。新旧の天才同士の対決と注目された一局は、相矢倉の本格的な戦いとなり、藤井が勝利を収めた。

 将棋界では、海千山千の先輩が、期待の新人の前に立ちはだかり、プロの洗礼を浴びせる、という光景をよく見る。どれほどの才能を持つ若者であっても、そう簡単には勝ち続けることはできないものだ。

 しかし藤井は、恐るべき地力を発揮して白星を重ねていく。藤井が登場する前、デビュー以来の連勝記録は10だった。しかし藤井はその記録をあっさりと更新してしまう。非公式戦ながら、「炎の七番勝負」と銘打たれた特別企画では、羽生三冠を含むトップクラスの棋士7人を相手に6勝1敗という好成績をあげている。

 連勝記録を継続したまま迎えたのが、竜王戦6組決勝である。

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