19連勝の藤井四段、プロはどう見ているのか

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なるか竜王戦ドリーム

近藤五段を下し、竜王戦6組優勝を決めた。竜王獲得までの道のりは長い(2017年5月25日)
近藤五段を下し、竜王戦6組優勝を決めた。竜王獲得までの道のりは長い(2017年5月25日)

 対局は藤井優勢と見られる中、18時、夕食休憩に入った。藤井はチャーシューメンを出前でとった。筆者はその店に足を運び同じチャーシューメンを注文したのだが、「ごめんなさい! もうスープが切れて売り切れなんです!」と言われてしまった。

 店の人によれば、夕方、チャーシューメンの注文が殺到したという。今はネット中継などで対局者の食事はすぐ伝わる。藤井ブームはこんなところにも及んでいるのかと驚きを禁じえなかった。この店には十数年通っているが、そんな経験は初めてだった。

 夕食休憩が終わり、対局再開されてからの藤井の指し手は巧妙を極めた。対局の進行を見守る若手棋士たちも、本来なら藤井を止めるのに躍起になっているはずなのだが、藤井の寄せに感嘆するばかりである。

 「藤井は詰将棋が得意で、終盤力が圧倒的である」と藤井が対戦相手に力の差を認めさせれば、相手は粘る気力をなくしてしまう、ということもあるだろう。

 19時29分。近藤が駒台に右手を伸ばし、投了の意思を告げた。両者一礼を交わして、長い対局が終わる。静謐(せいひつ)な空気の中で、藤井の竜王戦6組優勝が決まった。

 これで公式戦は19連勝。デビュー以来の記録としては史上最高記録の更新であり、また歴代の記録としては、単独7位となる。

 藤井が最短でタイトルを獲得する可能性があるのは、この竜王戦である。竜王戦は若き天才たちの登竜門となってきた。1989年には羽生が19歳で、2004年には渡辺明が20歳で竜王になっている。

 もちろん、ここからの道は簡単なものではない。それでも、もし勝ち進んでいけば、決勝三番勝負で羽生三冠と対戦する可能性もある。そして渡辺竜王と七番勝負を戦う、ということになれば、どれほどのフィーバーとなるのか。筆者にはまったく、想像もつかない。

プロフィル
松本 博文( まつもと・ひろふみ
 将棋ライター。1973年、山口県生まれ。93年、東京大学入学。大学時代は将棋部に所属し、将棋書籍の編集に従事した。卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力し、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)の対局のネット中継に携わる。『ルポ電王戦』(NHK出版新書)で第27回将棋ペンクラブ大賞(文芸部門)受賞。最新刊『史上最年少記録を塗り替えた強さの秘密 藤井聡太四段 14歳プロは羽生を超えるか』(文春e-Books)が電子書籍で発売中。

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