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実は、「確認」を繰り返すから「不安」になる

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安心感のピークを覚えている

 次のグラフを見てください。

確認1回と10回の場合の安心感の違いを示すグラフ(原井氏提供)
確認1回と10回の場合の安心感の違いを示すグラフ(原井氏提供)

 縦軸は安心感を示します。「100」が最高です。横軸は確認の回数を示します。

 とりあえず、確認をしていない「0」のときの安心感を「50」としましょう。確認によって得ようとしている安心感とは、実はその場の安心ではなく、確認を終えた後の記憶なのです。

 確認を10回繰り返した人と1回だけの人は、どちらが安心感の記憶が残ると思いますか?

 一般向けの講演会を行ったとき、参加者に手を上げてもらいました。過半数の人が「1回」と答えました。「10回」と答えた人もいましたが、よくよく聞いてみると強迫症の傾向がありそうでした。でも、なぜ1回だけの方が安心できるのでしょうか?

 行動経済学でノーベル賞を受賞した米国のダニエル・カーネマンは、何かを経験した後の記憶に基づく判断には、次の二つの特徴があるとしています。

 <1>持続時間の無視:人は安心感を総量としては経験しない。安心できている時間がいくら長くても、短くても、記憶には残らない。

 <2>ピーク・エンドの法則:人は自分の経験を、そのピーク(最高)とエンド(終わり)の2か所だけ覚えていて、他のところはほとんど無視して判断する。

安心感を再びピークにしたい

 それでは、もう一度、グラフを見てください。確認を1回した場合、安心感は最初の「50」から「80」に上がっています。

 一方、確認を10回した人は、終わったところで、安心感はやはり「80」なのです。しかし、確認を2回した後に「95」になった時のことを覚えており、最初に「50」だったことを忘れてしまっています。

 つまり、ピークの「95」から下がってしまったため、不安に思うわけです。再び「95」の安心感を経験したいと思い始めます。最初からリセットして、「0」から始めようという理屈です。こうなると、確認は10回どころでは済みません。

 確認を繰り返せば、確かに間違いは減ります。しかし、安心感を残すことはできません。「間違いがない」のと「安心感」は別物なのです。

リスクは正しく評価されているか?

 「確認癖」は、言い換えれば、心配性です。

 つまり、確認癖がある人は、将来起きる可能性のあるリスクを、あれこれ考え出すのが“得意”なのです。

 こういう人が、セキュリティー担当部署で働いていれば、他の人が思いもよらなかったことにもいち早く気づき、未然にリスクを回避できます。「よく気づいた」と上司から褒められることもあるでしょう。ただ、問題となるのは、リスクの可能性の評価です。

 そこで、ちょっと問題です。

 リスクについて、次のシナリオのうち、どちらの起きる可能性が高いでしょうか?

 【1】ある社員が、社内の個人情報を漏らして大騒動になる。

 【2】普段からそそっかしいある男性社員が、社内の個人情報を漏らして大騒動になる。

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