読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

世界初「洗濯物折り畳みロボット」は暮らしを変える?

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

家事の「重労働」を軽減…1台185万円は高くない?

 世界初の自動衣類折り畳み機は、日本人の生活を変える力を持つだろうか?

 家電製品の歴史を振り返れば、1950~60年代に「三種の神器」と呼ばれた電気洗濯機、白黒テレビ、電気冷蔵庫が急速に普及したことで、家庭生活は大きく変革した。

 とりわけ、53年に三洋電機(当時)が国産初の噴流式電気洗濯機を発売したインパクトは大きかった。この年は「電化元年」と呼ばれ、電気洗濯機の普及率は、それからわずか10年で50%を突破する。家電製品はさまざまな形で家事の軽減に貢献したが、中でも「重労働」だった洗濯の自動化が、女性に自由な時間をもたらしたのは明らかだ。

 電化元年の53年、読売新聞は次のような内容のコラムを掲載した。タイトルはズバリ「婦人の重労働」である。

 <たらいと洗濯板を使って行う洗濯は、1年間に上野動物園の象1頭分の重量を洗い上げる重労働だ。1日2時間の洗濯をするには300キロカロリーが必要で、卵に換算すると4個(60円)分に相当する。その半分の栄養を求めても1年間で1万円となり、3年で電気洗濯機1台が買える計算となる>

(「無印良品の家」の家事についてのアンケートから)※クリックすると拡大します
(「無印良品の家」の家事についてのアンケートから)※クリックすると拡大します

 64年前のコラムと同じような発想で電卓をたたいてみれば、ランドロイドの価格185万円は、最後に残された家事の「重労働」を軽減する効果に見合う――と感じる人がいても不思議はない。

 無印良品の住宅事業部「無印良品の家」が2008年に約3000人を対象に行った家事についてのアンケートによると、洗濯物を「干す・乾かす」が好きな人45%、負担ではない人58%と、買い物と並んで人気がある。ところが、洗濯物を「畳む・収納する」は、「好き」19%に対して「嫌い」が33%に、「負担でない」31%に対して「負担」43%と、一転して不人気になっている。洗濯して乾かすのはいいけれど、畳んで片付けるのは負担――。家庭の中には、潜在的な市場が広がっていると言えるだろう。

米国の男性起業家がライバル商品開発に着手

 自動衣類折り畳み機の市場には、早くもライバル商品が出現しようとしている。米国の男性起業家がシリコンバレーで立ち上げたベンチャー企業が、ランドロイドを追いかける形で洗濯物折り畳みロボット「FoldiMate」の開発を進めているのだ。

 ただ、こちらのロボットは、利用者が洗濯物を1枚ずつクリップで留めて機械にセットしなくてはならない。折り畳みを終えた後、衣類の仕分けでも人手が必要だ。日本製のランドロイドとは、商品開発の発想も機能も全く異なる従来型の家電だが、販売予定価格が約9万円と手頃なこともあって、20万人が開発企業のホームページに登録して発売情報を待つ。FoldiMateは、年内の予約開始を目指して開発が進められているという。

 FoldiMateの開発をめぐるエピソードで、日本社会が学ぶべき重要なポイントがある。それは、この男性起業家が開発をスタートさせたのは、家で妻から「あなたの洗濯物のたたみ方は、最悪よ」と非難されたためだという。そう、夫が洗濯物を畳んでいるから、生まれた製品なのだ。

 日本では、男性の家事時間の短さが突出している。経済協力開発機構(OECD)によると、男性(15~64歳)が家事をする時間は、1日あたり米国が2時間29分、ドイツ2時間44分、デンマーク3時間6分などに対し、日本は1時間2分しかない。日本の女性は4時間59分で、男性の5倍近い時間を家事に費やしている。

 4人家族の洗濯物を畳むのに、一生の間に375日間を費やすという。この時間を取り戻し、さらに、毎日、頭を悩ませる服のコーディネートにかける時間まで軽減してくれる。ランドロイドが実現を目指す「大切な人に次の自由を」というスローガンは、家庭の外で働く多くの女性たちにとって、非常に魅力的だと言えるだろう。

 男性に家事へのより積極的な参加を促すのはもちろんのことだが、ロボットが家事を担って暮らしをより便利にしてくれるなら、それもまた大いに歓迎したい。

プロフィル
稲沢 裕子( いなざわ・ゆうこ
 読売新聞調査研究本部主任研究員。専門分野はメディア。社会部、生活情報部(現・生活部)、経済部の記者、パソコン誌編集長を経て、女性向けサイト「大手小町」編集長などを務めた。急速に変化するメディアの動きを追いつつ、女性たちの生き方を考え続けている。

1

2

3

無断転載・複製を禁じます
430550 0 深読み 2017/06/02 11:00:00 2017/06/02 11:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20170601-OYT8I50063-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)