「ひふみん」引退、レジェンドは終わらない

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天才ぐらいでは驚かない

谷川浩司九段、羽生善治三冠、藤井聡太四段と将棋界には才能ある棋士が次々に登場する。才能は認めても、「彼らに怖れを感じたことはない」と加藤九段は語る
谷川浩司九段、羽生善治三冠、藤井聡太四段と将棋界には才能ある棋士が次々に登場する。才能は認めても、「彼らに怖れを感じたことはない」と加藤九段は語る

 名人の座は1年で谷川浩司八段(当時)に譲り渡した。加藤九段はこの頃から自分より若い世代に追われる立場になった。21歳で名人になった谷川、96年に7冠を達成した羽生。新しいスターが登場するたびに世間は「天才だ」と騒ぐ。

 しかし、加藤九段は才能がある若手が出てきても、怖れを感じたことはなかったという。「谷川さんは私より早く読んでいるなと感じました。羽生さんも私より少し早く読むなと感じたことが何回かあります。大山先生や升田先生との対局でそういう経験はありません。ただ、私より早く手を読めても、彼らの実力が手の届かないところにあるとは思いません。勝敗には直結するものではなく、こちらにとって畏怖すべきことではないのです」

 今や伝説となった五段当時の羽生三冠とのNHK杯戦、世間は終盤で羽生三冠が指した鮮やかな一手に大騒ぎしたが、加藤九段の評価は違う。「あの手は奨励会の三段でも指せる手。それよりも、羽生さんが私の指した将棋を研究してきて、新しい手をぶつけてきたところに感心しましたね。その手は相当時間をかけて研究しないと出てこない手です」

 才気あふれる手ではなく、むしろ深い研究に裏打ちされた地味な手の方を加藤九段は評価しているのだ。

将棋は芸術である

「将棋は芸術」というのが加藤九段の信念だ
「将棋は芸術」というのが加藤九段の信念だ

 加藤九段は2000年、紫綬褒章を受章した。紫綬褒章は「学術芸術上の発明改良創作に関し事績著明なる者」に与えられる。将棋は単なる伝統文化というよりは芸術であるというのが加藤九段の持論である。

 「1968年の第7期十段戦第6局で、私は大山名人と対局していて、深い感動を覚えるという体験をしました。私が丁寧に自分の指した将棋を解説していけば、ファンが同じ感動を感じ取ってくれる可能性は大いにあると考えています。感動を与えることは芸術の条件ですから」

 数多(あまた)ある芸術分野のうち、将棋と音楽は似ているところがあるのだという。

 「例えば、絵画は花があってそれを描く。ところが音楽はまったくの無から生まれたものです。将棋も無から有を生むところが同じ。しかも、一手指すごとに景色が変わります。音楽もメロディーが一瞬一瞬で変わっていきます」。加藤九段はよく対局の前の日に音楽を聴く。お気に入りはモーツァルトだ。

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