加藤一二三という生き方(上)盤上の激闘

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

17歳の少年と真剣勝負を戦える

引退会見の後、報道陣に手を振る加藤一二三九段(今年6月30日撮影)
引退会見の後、報道陣に手を振る加藤一二三九段(今年6月30日撮影)

 近年は、孫のような世代の棋士と戦うことも多かった。15年3月、棋王戦の予選で当時17歳の増田康宏四段と対戦した。

 「それまでいろんな若手と戦いましたが、その時、初めて思いました。この年齢で17歳の四段と真剣勝負を戦える。将棋界は本当にいい世界だと」

 加藤九段は当時75歳。生まれたのは野球の王貞治氏(ソフトバンクホークス会長)と同じ1940年である。現役棋士である限り、盤の前に座れば、高校球児の年代の相手とも同じ持ち時間で戦わなければならない。

 増田四段との将棋は、どちらが少年かわからないほど、若々しい指し回しを見せた加藤九段の快勝だった。結果はツイッターなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通じてまたたく間に広がり、ネット上には「ひふみん、すごい」といったコメントがあふれた。

 それから2年3か月、加藤九段もついに現役引退の時を迎えた。加藤九段の最後の対局は今年6月20日。その翌日、藤井四段が歴代記録に並ぶ28連勝を達成した。

 対局後、藤井四段は加藤九段についてこう語っている。「もう迫力のある対局姿を見ることができないかと思うと、一抹の寂しさがあります」

 全力で向かってくる相手がいるからこそ、全力で立ち向かうことができる。加藤九段が63年近く現役を続けることができたのは、盤の向こうに全力で戦う相手がいるからだった。通算対局数は2505。通算成績は1324勝、1180敗(タイトル戦の持将棋1)。対局数と負け数は歴代1位、勝利数は大山十五世名人、羽生三冠に次いで3位である。

【あわせて読みたい】
・「ひふみん」引退、レジェンドは終わらない
・将棋界のレジェンド・加藤一二三九段引退
・藤井フィーバー、指すだけではない将棋の楽しみ方
・19連勝の藤井四段、プロはどう見ているのか

プロフィル
田口 栄一(たぐち・えいいち)
 読売新聞メディア局編集部次長。1965年生まれ。趣味は将棋。小学生の時は、毎週日曜放送の将棋のNHK杯戦を見るのが楽しみで、よく自宅の将棋盤で加藤一二三九段の手つきをまねしていた。今は主にネットで将棋を観戦している。

1

2

3

4

無断転載禁止
430004 0 深読み 2017/07/10 14:02:00 2017/07/10 14:02:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20170710-OYT8I50028-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
The Japan News
発言小町
OTEKOMACHI
ささっとー
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
挑むKANSAI
読売新聞社からのお知らせ