犯罪者を遠ざける、子どもに安全な場所の作り方

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入りにくく、見えやすい場所づくり

ワシントンDCの公園に見られるゾーニング
ワシントンDCの公園に見られるゾーニング

 海外の公園には、子ども向けエリアと大人向けエリアを明確に分ける例がある。これは、ゾーニング(すみ分け)と呼ばれる。遊具は子ども向けエリアに集中させ、そこをフェンスで囲む。フェンスは、「ディフェンス」という言葉から派生したことからも分かるように、守りの基本形だ。

 前述したように、子どもが連れ去られるケースの多くは、子どもがだまされて自分からついていってしまうパターンである。しかし、ゾーニングされていれば、子ども専用のスペースに大人が入るだけで、子どもも、周りの保護者らも警戒するので、だまして連れ出すことは難しい。これが、「入りにくい場所」の防犯効果だ。

 米国・ワシントンDCのある公園には、フェンスで仕切られたスペースが、幼児用遊び場、児童用遊び場、小型犬用運動場、大型犬用運動場、コミュニティー農園の合計五つあった。徹底したゾーニングだ。住民の多様なニーズに応え、その満足度を高めながら、子どもが犯罪被害に遭うのを阻止できる、素晴らしいレイアウトである。

韓国の天安駅のトイレ
韓国の天安駅のトイレ

 韓国の天安市にある天安駅のトイレでは、左手前が男性用、奥が女性用、右手前が男性身体障害者用、その奥が女性身体障害者用と四つのゾーンを設けている。トイレ利用者の特性に配慮したゾーニングだ。

 トイレはいったん入ってしまうと外から見えにくく、性犯罪などが行われやすいため、天安駅のトイレのゾーニングは、女性が被害に遭いにくいように配慮されている。日本のように男性用と女性用の入り口が並んでいるとトイレに入る直前まで女性と男性が一緒にいても不自然ではないため、犯罪をたくらむ男性が後ろから近づき、女性と一緒にスッとトイレに入り込むのが可能になってしまう。しかし、ここでは女性用トイレが奥まったところに配置されているため、手前の男性用に入らずに通り過ぎた男性を「不審者」とみなすことができる。このため、女性はトイレに入る前に回避行動を始められるわけだ。これも、「入りにくい場所」の防犯効果だ。

 ゾーニングの発想が乏しい日本では、「だれでもトイレ」などと名づけられた、男女の別のない多目的トイレが多い。極めて「入りやすい場所」なので、犯罪を誘発する可能性が高い。2011年に熊本市のスーパーにいた女児が殺害された現場は、身体障害者用のトイレだった。

【あわせて読みたい】
・「実は、交通事故より多い家庭内の死亡事故」
・「逃亡犯らの顔を描く「プロファイル画」の世界」
・「公園も大声禁止、遊び場を追われる子どもたち」

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429307 0 深読み 2017/08/14 09:30:00 2017/08/14 09:30:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20170802-OYT8I50040-T.jpg?type=thumbnail

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