「認知症保険」異例のヒットのワケ

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

「徘徊」のリスク

 警察庁によると、16年に認知症の行方不明者として全国の警察に届け出があった人は前年比3224人増の1万5432人になり、12年の統計開始以降、4年連続で最多を更新している。認知症患者が徘徊しているうちに、行方がわからなくなってしまうケースが多発している。

サムスンの牙城・韓国を攻める家電メーカーとは
認知症の男性がJR東海の電車にはねられた共和駅(愛知県大府市)
認知症の男性がJR東海の電車にはねられた共和駅(愛知県大府市)

 家族が注意していても患者が徘徊し、事故につながる恐れはある。家族に影響が及んだ例では、07年に愛知県に住む認知症の男性患者(事故当時91歳)がJR東海の列車に接触し、死亡した事故がよく知られている。この事故では、JRが患者の妻と離れて暮らしていた長男を相手取り、列車が遅れたことなどにより経営に損害が生じたとして、約720万円の賠償を求めて提訴した。JR側は妻と長男が認知症の患者を監督する義務があると主張。一審の名古屋地裁では同居していた妻の責任を認め全額を支払うよう命じる判決が出され、二審の名古屋高裁では賠償額が360万円に減額された。しかし、最高裁は昨年3月、高裁判断を覆し、妻に賠償責任はないという判決を出した。

 このケースでは、最高裁は賠償責任がないと判断したものの、患者を抱える家族には一定の責任があるとみられるのも事実で、常にリスクを抱えているといえる。こうした「予想できないリスク」に対応しようと、損保各社は、第三者に損害を与えた場合に賠償金を支払う保険を展開している。

 MS&ADインシュアランスグループホールディングス傘下の三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険は、認知症患者が徘徊などで事故を起こすケースが増加していることから、15年10月に個人賠償責任保険の特約を見直し、事故を起こした人が認知症などで「責任能力なし」と認められた場合に、監督義務を負う別居の親族なども補償対象とした。また、認知症患者が線路に立ち入るなどして電車が止まるなど、人的・物的な損害を伴わない事案も発生していることから、今年1月にはこれらの責任にも対応する新たな特約を設けた。6月末現在、計3500件の契約を達成している。損保ジャパン日本興亜も今年に入り、同様の動きを見せている。

 ただ、損保では補償の対象や内容は各社間でやや異なっており、保険金が出るかどうかは、現状ではあくまで「ケースバイケース」としか言いようがない。認知症関連の損害保険は、具体的な事例や裁判の判例がまだ少ないこともあり、各社がどのような損害に対応するのかは今後の社会の動向次第といえる。

【あわせて読みたい】
・[40代のマネー学]50代のリスク、どう回避?
・[40代のマネー学]月1万円でも老後資金を蓄える
・ちょっと待って!プロならこんな保険は入らない
・老後資金を失うリスクは「退職金貧乏」から
・損害賠償1億円!やっちゃった時に必要な保険とは

1

2

3

4

5

スクラップは会員限定です

使い方
「深読み」の最新記事一覧
429385 0 深読み 2017/08/05 09:00:00 2017/08/05 09:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20170804-OYT8I50050-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込みキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)