打倒「羽生世代」へ、台頭する若手棋士たち

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藤井のNHK杯戦に注目

デビューから負けなしの29連勝で一躍、注目の人となった藤井聡太四段。今後、さらなる飛躍が期待されている
デビューから負けなしの29連勝で一躍、注目の人となった藤井聡太四段。今後、さらなる飛躍が期待されている

 それゆえ30代、20代の棋士たちは羽生だけを見ていればいいわけではない。10代の藤井が猛烈なスピードで後から追いかけてきているので、安穏としてはいられないのだ。

 デビューから負けなしの29連勝を果たし、一躍、時代の寵児(ちょうじ)となった藤井。15歳とは思えぬ棋力の高さとスケールは、歴代最強クラスの素質を十二分に感じさせる。

 最大の強みは、やはり読みの速さと正確さに裏打ちされた終盤力だろう。詰将棋解答選手権を2015年から3連覇しているように、その能力はずば抜けている。ひとことで言えば搭載されたエンジンの排気量が規格外なのだ。

 現在の藤井の実力は、これまで対戦した相手との勝敗で計るのが妥当かと思う。

 タイトル挑戦経験のある千田から1勝、トップクラスがそろう王位リーグを全勝した澤田真吾六段(25歳)に2連勝、永世名人の資格を持つ森内から1勝を挙げた。一方、棋王戦で挑戦者決定戦まで進んだ佐々木勇気六段(23歳)、王位を獲得した菅井、A級の豊島には敗れている。

 16年12月24日に加藤一二三九段(77歳)と戦ったデビュー戦から、直近に指した9月14日の佐藤慎一五段(35歳)との対局まで、通算成績は40勝6敗。勝率は8割7分と非常に高く、内容もムラが少ない。コンスタントに力を発揮できる特質は、この先何十年と続く戦いで大きな武器になるはずだ。

 残念ながら今年度中にタイトル戦に登場する可能性は消えたが、先々にはタイトル戦線で活躍する棋士になるのは間違いない。

 初の勲章としてまず期待されるのは、ベスト16に勝ち残っているNHK杯戦である。かつて羽生も、10代でありながら大山康晴、加藤一二三、谷川浩司、中原誠といった歴代名人を連破してNHK杯戦を制した。今回、藤井が優勝を果たせば、偉大な王者の後継者と見る向きも増えてくることだろう。

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プロフィル
後藤 元気( ごとう・げんき
 1978年千葉県生まれ。観戦記者。フリーライター。指導棋士三段。各棋戦の観戦記を執筆。将棋ペンクラブ大賞・観戦記部門大賞を過去2度受賞している。著書に『将棋エッセイコレクション』(ちくま文庫)、『将棋棋士の名言100:勝負師たちの覚悟・戦略・思考』(出版芸術社)など。

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