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感情と向き合う四つの方法

【1】原因探し・犯人探しをやめる
一般の人が(多くの専門家もそうですが)やりがちなのは、「どうして、なぜ?」「なにが悪いの?」という原因探し・犯人探しです。その気になれば、それらしい原因はいくらでも見つかります。
管理しすぎる社会、過剰な情報、利己的な隣人……。もちろん発達障害やうつ病のような病的な要因も考えられます。
原因を見つけると、私たちはちょっとホッとします。自分を責めることから逃れる道を見つけられるからです。しかし、それは言い訳や逃避に過ぎず、適切な感情の予測とコントロールにはつながりません。
まず、原因探し・犯人探しをやめるところからスタートしましょう。
【2】好奇心を持つ
「好奇心は恐怖に対する最高の治療薬だ」という言葉があります。
不誠実で言い訳ばかりする上司、自分の失敗を人のせいにする同僚、買い物依存症の配偶者、ゲームばかりしている息子、エスカレータの前で立ち止まるOL……。思わずガツンと言いたくなってしまいます。
そんな人たちがどう変わるのか、自分自身がどのように対応できるのか――。こんな好奇心を持って接してみるようにしましょう。
またとない機会だと考えれば、ちょっとの間だけでも自己嫌悪や絶望感が和らぐでしょう。
【3】感情にラベルをつける
自分の感情をコントロールできない理由の一つとして、それぞれの感情に適切な名前がないということがあります。
「なんかムカつく」
「不満が爆発しそう」
「イライラして我慢できない」
多くの人が感情を言い表すのに、こんな言い方しかしていないのではないでしょうか。例えば、こんなふうに、自問自答してみてください。
「喜怒哀楽で言えば、どれだろう?」
「今の感情に色をつけるとしたら何色?」
「重さで言えばテニスのボールくらいか。それとも、ボーリングの球?」
「この気持ちを動物にたとえたら?」
もちろん生物学や脳科学を勉強して、「利他的な罰」などと名前をつけるのも良いでしょう。感情に名前をつけることで、つかみどころのない気持ちのモヤモヤが、形あるものとして取り扱えるようになります。
【4】セルフモニタリング
次に、日記を用意してください。感情がいつ起こって、いつ消えるのかを毎日記録してみましょう。
心身の変化を自ら確認する「セルフモニタリング」を行うと、対処法が見つかる可能性が高まります。
1週間続けてみると、週明けに調子が悪くなる、いわゆる「月曜病」だと気づくかもしれません。1か月続けたら、女性の場合は排卵期に一致してイライラがあるということが明らかになるかもしれません。これは、月経前緊張症と呼ばれています。1年間続ければ、「秋から冬にかけて他人の評価が気になる」とか、「冬になると食欲が増して寝込むことが増える」といった傾向が分かるかもしれません。この場合は季節性感情障害(冬季うつ病)という診断が考えられます。
たとえ、特定の周期がなかったとしても、感情の変化を見ることができれば、何か一定のパターンが見つかるはずです。
「こういうときに、イライラしやすくなる」
「どんなに怒っても、翌日にはいつも忘れている」
このように、感情の始まりと終わりを知っていれば、過剰に自らを責めることもなければ、「自分の感情を管理しなければならない」という悩みに無駄な時間を使う必要がなくなります。
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