4割が痛みを経験…野球少年を悩ます「野球肘」とは

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日本の治療技術は世界一

 ――肘に痛みを感じたらどうすればいいですか?

今年の夏の甲子園は継投が目立ち、8強のうちエース1人で投げ抜いたチームはひとつもなかった。優勝した花咲徳栄は綱脇(写真)と清水が大車輪の活躍を見せた(2017年8月23日、金沢修撮影)
今年の夏の甲子園は継投が目立ち、8強のうちエース1人で投げ抜いたチームはひとつもなかった。優勝した花咲徳栄は綱脇(写真)と清水が大車輪の活躍を見せた(2017年8月23日、金沢修撮影)

 「まずは休んでください。休んでいる間に治るものもありますし、手術しないとだめな例もあります。離断性骨軟骨炎の治療法は、1年くらい投げないで様子をみるか、手術しかありません。肘の外側に痛みを感じて自ら病院に来た子供は6、7割は手術が必要です」

 「日本の治療技術は世界で一番進んでいます。実のところ、少年の野球肘は日本が一番多いのです。以前は離断性骨軟骨炎になると、高いレベルでの野球復帰が困難なことがありましたが、手術をして完全に復帰するケースが増えています。私のところでも、中学の時にこの治療をして、その後、全国大会に出て優勝したという投手がいます。治療後に県外の名門高に進んだ子もいます」

 ――野球肘研究会を作った理由を教えてください。

 「スポーツの現場と医療の連携を旗印に2010年4月に発足しました。病院で治療するのでは遅すぎるという思いがあったからです。治療だけじゃ足りない。トレーナーや、指導者たちに情報公開をすることが大切と思いました。山形の高校野球で、肘に痛みを感じたらまずどこにいくかという統計を取ったら、半数は接骨院、半分が病院でした。一般の人は、接骨院も医者がやっていると思っています。接骨院の人が正しい知識を持って、医師と連携することが必要です。そういった人たちがたくさんいれば、子供たちは助かると思います。スポーツ整形外科の学会は医者だけの集まりですが、野球肘研究会は理学療法士や接骨師などの医療従事者やトレーナーや指導者を含めた組織になっています」

 ――具体的にはどんな活動をしていますか?

 「現在は夏と冬の2回に合宿をしています。これまで13回。夏は勉強を一生懸命やって、どうしたらよりよく治療できるかを考えるのがメインです。この夏の新潟合宿には、全国から約300人が集まりました。内訳は、医者が100人、接骨院関係者・理学療法士などが100人、野球の指導者ら一般の人が100人といったところです。冬は一般の人を対象にして、検診したり、プロ野球選手を呼んだりして交流をしています」

 ――最後に、野球少年に一言お願いします

 「スポーツは楽しくやるものです。ケガをすると楽しくなくなります。ケガがないように、もしケガをしても、周囲が力を合わせて、復帰できるように、私たちは努力しています。ほとんどのケガは、治療でなんとか戻せるのではないか、というところまできています。私たちは、ケガをしても、最終的には野球をより上手に楽しくできるようになることを目指しています」

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プロフィル
高原 政利( たかはら・まさとし
 北海道美唄市生まれ。北海道大医学部卒、山形大大学院医学系研究科医学専攻修了。北大、山形大の整形外科勤務などを経て、昨年4月から泉整形外科病院(仙台市)院長。日本体育協会の公認スポーツドクター、日本整形外科学会の整形外科スポーツドクターになるなどスポーツ整形外科に積極的に取り組む。野球肘に関しては、多数の論文がある。

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