「まずい給食」はなぜ配られたのか

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なぜ「まずく」なるのか?

写真はイメージです
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 大磯町のケースでは給食が冷えていたことが、生徒たちが「まずい」と感じた理由の一つでした。デリバリー式では基本的に冷したものしか配送できない。それには理由があります。

 学校給食は調理してから、子どもの口に入るまでは最大2時間まで、というルールがあります。2時間を過ぎると、急激に食中毒菌が増殖する可能性があるからです。児童・生徒の数にもよりますが、業者の多くが、大量の弁当を2時間以内に学校に届けるのは難しいのが現状です。従って、菌が増殖しにくい10度以下の温度で配送しなければなりません。だから冷たい給食になるのです。

 デリバリー式の給食では、野菜がよく残されます。給食では野菜の使用すべき量も示されており、それを目安に副菜と汁物の具に分けて使います。汁物に入った野菜の方が子どもには食べやすいことが多いのですが、デリバリー式では搬送上の関係から汁物が付いていないことがほとんどで、弁当箱に副菜を多く詰め込まなければならないのです。

家庭の食生活も影響

 一方、給食が「まずい」理由として、塩味があまり強くない薄味であることをあげる人がいますが、これには同意できません。子どもが塩分を取りすぎないように配慮して、味付けをしているからです。こうした味に慣れておくことは将来の生活習慣病の予防にもつながります。また、薄味なら、食材そのものの味を楽しむことができます。

 食材の質を落とさざるを得ないこともあります。食材の購入費用は給食費として保護者から集めますが、その平均額は小学校中学年で月4306円、中学校で月4921円(2015年、文部科学省調べ)、1食にすると250~290円です。この範囲で必要な栄養を取ることができる給食を作ろうとして現場は苦労しています。食材費が値上がりすると、まずはデザートや果物などをなくして対応しますが、それでも足りない場合は、さらに安い食材でやりくりすることになり、それは食材の品質を下げることにもつながります。品質を上げられない上に薄味となれば、生徒たちがそれを「まずい」と感じるのも仕方ないのかもしれません。

写真はイメージです
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 ただ、薄味を「まずい」と感じるようになったのは、家庭での食生活の変化も影響していると思います。子どもたちに話を聞きますと、夫婦共働きの家庭が増え、忙しい中で食生活が変わっていることがわかります。朝は簡単なパン食で済ます、または食べないという子どもがいます。夜は親が仕事帰りにスーパーで買ってきた総菜、コンビニ弁当を自分で買うという子どももいます。そして休日は外食。こうした食生活では、濃い味に慣れてしまい、味覚形成の大事な時期なのに食材そのものの味がわからないまま育ってしまう可能性があります。せめて休日ぐらいは、家で子どもと料理を作るなどして、食材との出会い、素材そのものの味や食べることの楽しさを親子で体験してほしいものです。

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