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王族も拘束…サウジアラビアで今、起きていること

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国庫から消えた金は11兆円

サルマン国王(左)とムハンマド皇太子(ロイター)
サルマン国王(左)とムハンマド皇太子(ロイター)
サウジ随一の建設複合企業体であるサウジ・ビンラーディン・グループの手で建設が進むメッカのモスク(2015年撮影)。同グループはメッカやメディナの拡張工事のほぼ全部を担っているが、今回の拘束者の中にバクル・ビンラーディン同グループ代表も含まれていた(AP)
サウジ随一の建設複合企業体であるサウジ・ビンラーディン・グループの手で建設が進むメッカのモスク(2015年撮影)。同グループはメッカやメディナの拡張工事のほぼ全部を担っているが、今回の拘束者の中にバクル・ビンラーディン同グループ代表も含まれていた(AP)

 拘束された要人や有名人は他にもいる。ムハンマド皇太子の肝いりで昨年4月に始まった社会・経済改革「ビジョン2030」に深く関与していたファキーフ経済企画相、サウジの国営石油会社サウジアラムコの最高評議会メンバーであり昨年まで財務相だったアッサーフ国務相、サウジ随一の建設複合企業体であるサウジ・ビンラーディン・グループの代表バクル・ビンラーディン氏(米同時テロの首謀者であるウサマ・ビンラーディンの兄)や、中東最大のテレビ局MBCのオーナーであるワリード・イブラヒム氏、著名な実業家で億万長者のサーレハ・カーメル氏ら、現職の閣僚や元高官、ビジネス界の大物が一斉に拘束されたのだ。

 これらの人たちはサウジでは「特権階級」に属しており、これまでは捜査の対象になることなどあり得なかった。モジェブ司法長官によると、過去数十年間にわたって国庫から横領されたお金の総額は1000億ドル(約11.2兆円)を超える。身柄拘束と並行して、関連する2000以上の銀行口座が凍結されたとされる。

 今回拘束された中で、政治的に最も重要な意味を持つと見られているのが、ムハンマド皇太子の従兄であるムトイブ王子である。同王子はアブドラ前国王の息子で、聖地メッカや国境警備を担当するエリート部隊の国家警備隊を率いる国家警備隊相を、拘束当日まで務めていた。

 サウジには治安部隊が三つ存在する。一つは軍、もう一つは警察、そして、この国家警備隊である。ムハンマド皇太子は国防相も兼任しているので、軍を支配下に置いている。警察はもともと内務省の傘下にあったが、今年6月にムハンマド・ビンナエフ前皇太子兼内相(58)が解任された後、ムハンマド現皇太子が王宮府の下に組み入れ、支配下に置いた。残る一つが国家警備隊だったが、今回トップを拘束し、解任したことで、ムハンマド皇太子は将来の危険の芽を取り去ったと考えられている。

王族取調べは超高級ホテルで

 今回の拘束劇で、メディアの格好の話題となっているのが、拘置場所がリヤドの五つ星ホテルであるリッツ・カールトンであることだ。王族を通常の留置場に入れることはさすがにできないという配慮なのかどうかは分からないが、連行された人々は超高級ホテルに幽閉され、尋問を受けているとのことである。

 一連の摘発が始まってから数日後に拘束された人が200人を超え、リッツ・カールトンが手狭になったからか、四つ星ホテルのコートヤード・バイ・マリオットも政府によって全ての部屋が押さえられ、捜査の対象になった人たちがこちらのホテルにも送られてきているということだ。

 どちらのホテルも一連の騒動が起きるまでは通常営業しており、外国人ビジネス客らが大勢泊まっていた。英ガーディアン紙によると、リッツ・カールトンでは今月4日になって、いきなり「夜11時までに全ての荷物をまとめて部屋を出るように」という通達が出され、宿泊客らはその夜のうちに近くの代替ホテルに移動させられたという。

 容疑者らは深夜0時ごろからホテルに移送された模様だ。宿泊客にとっては、なんとも迷惑な話である。

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427505 0 深読み 2017/11/22 14:26:00 2017/11/22 14:26:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20171121-OYT8I50085-T.jpg?type=thumbnail

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