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王族も拘束…サウジアラビアで今、起きていること

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父親のもとで要職を歴任

父親であるサルマン国王のもとで権力を拡大してきたムハンマド皇太子(ロイター)
父親であるサルマン国王のもとで権力を拡大してきたムハンマド皇太子(ロイター)

 この前代未聞の拘束劇の中心にいるムハンマド皇太子とは、一体何者なのか。彼はサルマン国王が49歳の時の息子で、1985年生まれの32歳。リヤドにあるキングサウード大学で法律の学位を取り、2009年から、当時リヤド州知事をしていた父親のそばで働き始めた。王族の王子としては珍しく、欧米の大学への留学経験はない。

 12年に父親が皇太子になると、翌13年には皇太子府長官に任命され、14年には国務相として入閣を果たす。15年1月に父親が国王になると、29歳で世界最年少の国防相に抜擢(ばってき)された。同年4月には副皇太子に就任。国の経済を一手に取り仕切る経済開発委員会の議長や、サウジの石油政策を決めるアラムコ最高評議会の議長など、国家の最重要ポストを複数兼任している。

 サルマン国王は今年6月、内務省で長年テロ対策を指揮し、内外からの評価も高かったムハンマド・ビンナエフ前皇太子を解任し、ムハンマド副皇太子を皇太子に昇格させた。これ以来、前皇太子は自宅軟禁状態にあるとされており、また、今回の一連の汚職摘発で彼自身および親族の銀行口座が凍結されたとの報道も出ている。

 通常、サウジの国王は、亡くなってから次の国王が王位を継承するのが慣例であるが、現在81歳のサルマン国王は、異例の生前退位をしてムハンマド皇太子に王位を譲位するのではないかとの観測も出ている。

 なお、ムハンマド皇太子は、いとこのサーラ王女と08年に結婚し、すでに4人の子供(2男2女)に恵まれている。余談ではあるが、この4人の子供にはムハンマド皇太子の両親の名前と、サーラ王女の両親の名前が付けられていることから、それぞれの両親に対する尊敬の念がうかがえる。

強気な外交、周辺国と摩擦も

イエメンの首都サヌアにある同国国防省の建物を狙ったサウジアラビア軍の空爆により、破壊された家屋を見にきた人たち(11月11日撮影、ロイター)
イエメンの首都サヌアにある同国国防省の建物を狙ったサウジアラビア軍の空爆により、破壊された家屋を見にきた人たち(11月11日撮影、ロイター)

 ムハンマド皇太子は、15年1月に国防相に抜擢されてから2か月後に、隣国イエメンへの空爆と内戦への介入を行った。介入は現在も続いており、これまでに一般市民の犠牲者は1万人を超え、多くの難民や国内避難民を出している。

 イエメンの反政府勢力「フーシ」がイランの支援を受けていると考えるサウジは、イエメンに対し厳しい経済封鎖も行っている。そのため、援助を必要としている人たちに支援物資が届かず、現在700万人が飢えに苦しんでいるという。また、衛生状態の悪化によりコレラが蔓延(まんえん)。すでに2000人以上が死亡、国連もイエメンの惨状に憂慮の念を表明している。

 昨年1月には、湾岸地域で覇権を争うイランとの国交を断絶したが、イランは米露中などと核合意を結び、同月より対イラン制裁が緩和された。その結果、イランは貿易を拡大し、石油輸出を飛躍的に増加させている。

 また、今年6月には、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、エジプトなどとともに、同じ湾岸協力会議(GCC)加盟国でもある隣国カタールとの国交を断絶。サウジを含む4か国はカタールに対して、イランとの関係縮小や衛星放送局アル・ジャジーラの閉鎖など13項目の要求を突きつけ、これらの要求を受け入れるまで交渉はしないとして、すでに5か月以上、カタールとの陸海空一切の交通を遮断している。

 カタールはこの圧力に抵抗しており、サウジなどの思惑とは逆に、貿易分野でイランとの関係を強める結果となっている。ムハンマド皇太子が主導する強圧的な外交政策は、これまでのところ、お世辞にもうまくいっているとは言いがたい。

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427505 0 深読み 2017/11/22 14:26:00 2017/11/22 14:26:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20171121-OYT8I50085-T.jpg?type=thumbnail

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