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王族も拘束…サウジアラビアで今、起きていること

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「普通の国」への遠い道のり

サウジアラビア東部にあるサウジアラムコの油田施設。石油依存経済からの脱却がサウジの課題だ(ロイター)
サウジアラビア東部にあるサウジアラムコの油田施設。石油依存経済からの脱却がサウジの課題だ(ロイター)
サウジアラビア西部のジッダで、サルマン国王(右)とムハンマド皇太子が描かれた看板の前を通り過ぎる少女たち。ムハンマド皇太子が進める「ビジョン2030」の成否は、同国の人口の大半を占める若年層の支持にかかっている(ロイター)
サウジアラビア西部のジッダで、サルマン国王(右)とムハンマド皇太子が描かれた看板の前を通り過ぎる少女たち。ムハンマド皇太子が進める「ビジョン2030」の成否は、同国の人口の大半を占める若年層の支持にかかっている(ロイター)

 サウジアラビアはその名の通り「サウード家の王国」である。今回、汚職の容疑で大勢の王族や政府高官らが拘束されたが、米ニューヨーク・タイムズ紙によると、王家であるサウード家は国家そのものであり、同時に多くのビジネスも手掛けている。

 国営石油会社アラムコは来年、国外投資家から資金を調達するために新規株式公開(IPO)を行うと言われている。そのためには、財務諸表を公開する必要があるが、アラムコの収益からいくら王族に流れているのかなどの情報は、これまで一切明らかにされてこなかった。

 また、同紙はサルマン国王やムハンマド皇太子自身が過去に行った数千億ドルを超える私的な買い物などについても触れ、汚職摘発は回り回って自分たちの身に降りかかってこないのかとの疑念を呈している。

 確かに、今回拘束された人たちに疑わしい点はあったのかもしれないが、全員が純粋に汚職容疑で拘束されたとは言い切れないのではないかと見る専門家は多い。

 ムハンマド皇太子は経済開発委員会議長として、サウジの経済政策を仕切っていく立場にある。石油依存からの脱却と経済の近代化を目指すサウジで、社会・経済改革を盛り込んだ「ビジョン2030」を昨年4月に発表し、注目を集めたのもムハンマド皇太子だ。

 その内容は、サウジに海外からの投資を呼び込むことで経済を多角化し、女性の地位向上やエンターテインメント産業の拡充を進めるなど、サウジを「普通の国」にすることを目的としたものである。

 サウジ国民の70%を占めると言われる30歳以下の若者は、特権階級に切り込んだ今回の汚職摘発や「ビジョン2030」を今のところ支持しているようだ。背景にはサウジが「普通の国」に変わることへの若者の期待がある。この期待にムハンマド皇太子がどれだけ応えられるのか。中東の大国であるサウジの未来は、ムハンマド皇太子の双肩にかかっている。

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プロフィル
広瀬 真司( ひろせ・しんじ
 米ジョージタウン大学外交学院にて修士号(中東研究)取得後、在イエメン日本国大使館、国連開発計画(UNDP)パレスチナ人支援プログラム・エルサレム事務所、日系石油会社ドバイ事務所勤務を経て、2015年、住友商事グローバルリサーチ入社。専門は中東・北アフリカ情勢分析。

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427505 0 深読み 2017/11/22 14:26:00 2017/11/22 14:26:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20171121-OYT8I50085-T.jpg?type=thumbnail

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