バナナはおやつですか?ノーベル経済学賞の答え
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「自由に使えるお金」を把握していますか?

家計の管理でメンタルアカウンティングに陥らない方法は簡単だ。
「生活費」以外をすべて「お小遣い」(臨時出費などを含む)として考えれば良い。家賃、公共料金、食費、教育費、携帯電話料金などが「生活費」にあたる。
例えば、月収50万円で「生活費(=自由に使えないお金)」が30万円ならば、「自由に使えるお金」は20万円。したがって、20万円を「お小遣い」と「貯金」へ振り分ければいい。
おそらく、家計簿をしっかりつけている人でも、自由に使えるお金を正確に把握している人はわずかだろう。なぜなら家計簿を正確に読み取って分析し、今後の家計管理に生かすのは企業の決算書を読むくらいに難しいからだ。
「お小遣い」の使い道をとやかく言う人もいるが、それは問題ではない。本人が欲しいと思い、必要だと考えれば、それは優先順位が高い支出となる。
「コンビニのコーヒーのほうが安く済む」といったケチなアドバイスは無視して、スターバックスのコーヒー1杯で仕事のストレスが解消できるなら毎日でも飲めばいい。
このようにメンタルアカウンティングを意識して取り払い、「生活費」「お小遣い」「貯金」というくらい大雑把に家計を分類すれば、お金の優先順位を決めることができる。
細かく管理するほど家計は正確に把握できそうに思われるが、それは大きな勘違いだ。管理すべき項目が増えるほど、かえって手間がかかる上に実態の把握が難しくなる。
バナナはおやつに入りますか?
小学生の頃、遠足に持っていくおやつは300円までといった決まりがあった。
すると、必ずといっていいほど、「バナナはおやつに入りますか?」と聞くクラスメートがいた。こうしたやり取りは、遠足にまつわる「ネタ」になっていた。
家計簿における支出の細かい分類は、バナナが弁当の一部なのか、それともおやつなのかといった点をトコトン突き詰める行為と同じで意味がない。
支出項目が「生活費」と「お小遣い」の二つしかない家計簿はおそらくないと思う。ところが、一部上場の大手企業でも、売り上げから「売上原価」と「販管費」という二つのコストを差し引くと、本業の利益と呼ばれる営業利益を計算できる。複雑な企業の利益を計算する際でも、支出(費用)のカテゴリは大きく分けて二つしかないわけだ。
自身のお金の使い方と貯め方で、「過剰な分類をしていないか」「無駄な色を付けていないか」と考えてみてほしい。
お金の管理がうまくできない人は、「バナナはおやつですか?」の話と同じように無意味な分類を過剰に行い、無駄な手間をかけて簡単なことを難しくしている可能性がある。
企業会計にルールはあるが、家計簿の正しいつけ方はない。家計管理の考え方は人によってバラバラだ。企業と違ってルールが必要とされないという理由は当然あるが、メンタルアカウンティングがそのまま家計簿に反映されている側面があるだろう。
家計管理がことのほか難しく、毎月のやりくりが思うようにいかない人は少なくない。セイラー氏がノーベル経済学賞を受賞した「行動経済学」で、その理由が実証されたのではないだろうか。
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