動物専門医が指摘する「間違った犬のケア」とは?

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

犬の耳は健康のバロメーター?

 ペット保険最大手の「アニコム損害保険」(東京)がまとめた調査「アニコム家庭どうぶつ白書2016」によると、14年4月から15年3月までの間に飼い主が同社と保険契約した犬45万6822頭のうち、耳の病気で保険請求があった犬の割合は全体の17.4%と、最も多い皮膚の病気(24.0%)に次ぐ高率となった。

 また、詳しい疾患別の請求理由では、「外耳炎・外耳道炎」による請求が6万9679頭と全体でトップだった。

内視鏡で撮影した動画を用いて、症状について説明する杉村さん。耳の内部は、ぼこぼこに腫れ上がっている
内視鏡で撮影した動画を用いて、症状について説明する杉村さん。耳の内部は、ぼこぼこに腫れ上がっている

 犬や猫の耳の病気自体は、命に直結しないケースがほとんどだという。しかし、耳は脳に近い位置にあるため、場合によっては突然死につながる恐れもある。また、耳の病気の陰には他の病気が隠されているケースもあるそうだ。

 杉村さんによると、耳の病気にかかる犬はもともとアトピー性皮膚炎や食物アレルギー、外部からの寄生虫による病気などにかかっていて、自然治癒力が落ちた結果が、耳の病気として現れることも多いという。

 食物アレルギーの犬の80%、アトピー性皮膚炎の犬の43%が外耳炎を併発しているという調査結果もある。耳の状態は、ペットの健康のバロメーターともいえるのだ。


 「たとえば、アニメで犬が後ろ足で耳をかく場面がありますが、これは犬にとってはおかしな行動です。『多少、かゆがってもよいのではないか』と考える飼い主もいますが、(もしこういう行動をしていたのを見かけたら)症状の根本的な原因を探り、対処する必要があります」(杉村さん)


人の耳の学会にも参加

 杉村さんは、1981年に獣医師免許を取得した後、ドイツやオランダなどで学び、88年に洲本市で動物の総合診療クリニックを開業した。92年には、重い中耳炎の犬に対し、国内ではほとんど前例のなかった「鼓膜切開」という手術を成功させた。

 以来、口コミなどで評判が広まり、ペットの耳の病気に悩む飼い主が多く訪れるようになった。「耳の治療をすると、ペットの機嫌が見違えるように良くなるのですよ」と話す杉村さん。2014年、クリニックを耳科専門に切り替えた。動物の耳科を体系的に学ぶ機会が少ない日本で、耳科に集中し、経験を積みたいという気持ちも強かった。

犬の耳の構造。「L字形」のため治療が難しい。
犬の耳の構造。「L字形」のため治療が難しい。

 今では、近隣だけでなく、北陸や東海、九州から猫も含めた「患者」が訪れるという。地元の動物病院の処置では症状が良くならず、紹介されて遠方から来るそうだ。

 犬の外耳道は入り口が垂直、その先が水平の「L字形」をしているため、診察や治療が難しい。杉村さんは、ペットの耳科治療では一般的でない全身麻酔をかけ、時には人間用の内視鏡を駆使して治療を行う。このため、動物関連の学会だけでなく、人の耳を扱う研究者や医師らが集まる「日本耳科学会」などにも所属。大学の医学部で耳科の講義も聴講し、日々の診療に応用している。

【あわせて読みたい】
・星野リゾートがディープな大阪に進出する「ホンマの理由」
・トラブルも勃発?「ドッグラン」を犬と楽しむ方法
・野良猫に触るのは危険!「死に至る病」感染の恐れも

1

2

3

無断転載・複製を禁じます
427355 0 深読み 2017/12/02 07:00:00 2017/12/02 07:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20171201-OYT8I50058-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

新着クーポン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ