重すぎるランドセル、“リスク”も背負う子どもたち

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少子化で高級化も

写真はイメージです
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 荷物を含む物理的な重さのほかに、経済的負担の重さという問題もある。

 「ラン活」という言葉をご存知だろうか。人気のランドセルをめぐる争奪戦のことだ。総務省の調査によると、15歳未満の子どもの人口は36年連続で減少し、ピーク時だった1954年の2989万人から、1571万人(2017年4月1日現在)へとほぼ半減している。それにもかかわらず、ランドセル市場は熱いのである。

 販売ピークは例年12月から1月と言われているが、人気商品は夏前には完売状態というのだからあなどれない。「男の子は黒、女の子は赤」という時代はとうに過ぎ去り、メーカー側も大量生産品ばかりではなく、“限定品”や“オリジナルデザイン”で個性やこだわりを売りにした商品を作っている。カラーもピンクや青、茶色などと豊富で、品質も傷に強く、耐久性の高い素材・部品を使用したもの、高級レザーを全面に使用したものなどがある。

 例えば、イタリアの皮職人が手作りしたもの、花の刺繍(ししゅう)が散りばめられたもの、高級車のブランド名を使った15万円の商品などが売り出されたこともある。

 都内のある百貨店に聞くと、ランドセル売り場の購入価格の平均は6万円台だという。メーカーで作るランドセル工業会(東京都台東区)の調査でも、ランドセルの平均購入価格は2007年入学対象者が2万9884円であったものが、2015年では4万2420円と上昇している。

 子ども一人に対して、「両親と両祖父母」の計6人の財布があることを指す「6ポケット」と言われるように、高額になっても、それを賄う支出元は多い。少子化の時代だからこそ、一人の子どもにかけるお金は増加傾向にあるのだ。

脱・高級化の動きも

ランリック
ランリック

 そんな中、安価な通学鞄が普及している地域もある。「ランドセルが高価で買えず、悲しい思いをしている児童もいる」という訴えを聞いた京都府の学用品メーカーが、ランドセルとリュックを掛け合わせたような形状の「ランリック」を開発。1968年に販売が始まり、現在では京都府南部を中心に、滋賀、岐阜、山口、福岡、埼玉県の一部などで使われている。

 価格は1万円前後。個性を奪うという意見もある一方、保護者たちが配慮して、自発的にランリックを“指定”して皆で使う地域もあるという。

 ランドセル工業会は、2016年に刊行した130年史の中で、「誰もがおじいちゃん、おばあちゃんに高いランドセルを買ってもらえるわけではなく、贅沢(ぜいたく)品であっていいわけがないのは当然であろう」とした上で、「豊かさの陰で低所得者や生活保護家庭が増えているという現実もある。とても無視していい問題ではなかろう」と記し、業界の将来の課題として考え始めている。

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