広がる「猫ブーム」に潜む危うさとは?

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ブームの裏に潜む闇…

 最近、動物をテーマにしたテレビ番組などでは、よく純血種などの子猫を紹介するコーナーを見かけるようになりました。メディアは猫の「かわいさ」を強く押し出します。出演する子猫は、ペットショップや繁殖業者、ブリーダーなどから店名やキャッテリー(猫舎)の名前を掲載することを条件に借りるのです。

 もちろん、ペットショップやブリーダーなどにとっても、コストを抑えて露出度を上げることができれば有益です。人気タレントが「かわいい!」と言えば、猫を飼いたいと思う人が増え、ブームが広がります。そして、インターネット、SNS上にもかわいらしい猫の動画や写真がどんどんアップされるようになり、さらにブームが過熱していくのです。

 今では、ページビュー(ウェブサイトの閲覧回数=PV)が伸びるからと、通常のニュースとは別に、頻繁に猫の写真や動画を配信するネットメディアもあるほどです。

 しかし、こうしたブームを作り出すことによって生じる危険があるのです。

「犬ブーム」のその後…

 ペット界では、過去に「大型犬ブーム」や、CMに出演したチワワやダックスフント、柴犬(しばいぬ)などの特定の犬種のブームが起こりました。一方で、一部の業者やブリーダーは、「人気の犬種が高値で取り引きできるうちに」と過剰繁殖を行ったのです。

 そして、ブームが終息すると、これらの犬に飽きてしまう飼い主が増えてしまいました。そして、捨てられたシベリアンハスキーが野犬化して問題となったほか、多くのチワワやポメラニアンなどが動物愛護センターなどの施設に保護され、新たな飼い主を待つことになりました。

スコティッシュフォールドの折れた耳は軟骨の形成異常によるものだ
スコティッシュフォールドの折れた耳は軟骨の形成異常によるものだ

 利益だけを追求する業者やブリーダー、そして、安易に飼い始めた飼い主によって、多くの犬たちが捨てられるという不幸な道をたどることになったのです。ブリーダーが犬から猫に「乗り換える」ケースも増えています。現在の猫ブームも、同じような道をたどる恐れがあるのでは、と筆者は危惧しています。

人気の猫、折れた耳は「異常」

 あるCMに出て話題となったスコティッシュフォールドがまさにその典型例です。人気の猫種としてメディアでも紹介され、多くの人に飼われています。

 ただ、スコティッシュフォールドの人気の理由の一つである「折れた耳」は、実はもともと軟骨の形成異常(骨軟骨異形成症)によるものとされています。

 「特に折れた耳の猫同士を交配させて生まれた子猫は、耳以外の骨や軟骨にも重度の異常が見られることも多く、歩行困難になる可能性もあります」と、さいたま博通り動物病院(埼玉県熊谷市)の高野宜彦院長は警鐘を鳴らします。しかし、折れた耳のスコティッシュフォールドは高く売れるため、利益だけを追求する繁殖業者らの中では、危険を承知であえて「折れ耳」同士を交配させるケースもあると言います。

 このように業者による過剰繁殖や、知識や経験に乏しい「にわかブリーダー」による繁殖も増えているのが実情です。しかし、ブームが去った後、猫たちはどうなるのでしょうか。実は早くも一部の買主は飽きてしまったようで、すでに雑種の猫だけでなく、購入するケースが多い純血種の猫まで捨てられ始めています。つまり、今後は犬と同じ道をたどる恐れがあるのです。

 また、犬に比べ多頭飼育が容易な猫は、「かわいいから」と不十分な知識で、去勢・避妊をしないまま、安易にオス猫とメス猫を飼い始める人も多いのです。すると、どんどん数が増えて、やがて飼いきれなくなる「多頭飼育崩壊」を起こす恐れもあります。それが捨て猫を増やす一因となり、近年、大きな問題となりつつあります。

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1933 0 深読み 2018/01/07 07:00:00 2019/02/06 15:06:05 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20171228-OYT8I50002-T.jpg?type=thumbnail

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