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よりよい生活、ゲーム中毒…流行語に見る中国の世相

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中国では絶大な影響力…「帯貨」(ステルスマーケティング)

 日本でも数年前、芸能人がブログなどで特定の商品の宣伝を、一見それとは分からないように書くステルスマーケティングが問題になった。中国でも、ドラマの小道具としてある商品を使ったり、著名人に持たせたりして、その商品を宣伝する手法が盛んに行われている。

 こうした帯貨で最も影響力があったのは、人気女優の(ヤン)ミーだ。彼女のファッションをまねる女性が多いため、彼女は2016年には年間300種類の服を着ていたとも言われる。また、今年ヒットした反腐敗がテーマのドラマ「人民的名義」(人民の名義)でも、登場人物が使ったコップや着用したベストがネットショップに数多く出品された。

一緒に盛り上げよう…「打call」

 打callは日本のオタク文化の一つ、アイドルのコンサートなどで観客が動きや声を合わせて盛り上げる掛け声「コール」のことだ。日本語で「ヲタ芸を打つ」と言われるアイドル応援と同じようなもので、中国語では打callと表現され、広まっている。

 日本のドラマ「最高の離婚」でアイドルグループのコンサートシーンがあり、そこから中国でも打callが広まったといわれている。

 中国では打callがオタク文化としてではなく、みんなが声を合わせて一斉に叫ぶ、というより広い意味で使われている。今年10月初旬、党大会をひかえメディア上で、「祖国はすごいぞ! 祖国のために打callしよう!」というフレーズ登場した。中国人民ラジオ局は「為新時代打call」(新時代のために掛け声をあげよう)と題する習近平政権のこれまでの5年間を称賛するミュージックビデオまで製作している。中国政府のプロパガンダは若者への浸透を狙って、日本のオタク文化まで利用する手の込んだものへと進化している。

伝統を前面に…「古典範児」(古典スタイル)

現在は博物館(故宮博物院)になっている故宮。中国では伝統を見直そうという風潮があり、今年の十大キーワードの中に「古典範児」が入った
現在は博物館(故宮博物院)になっている故宮。中国では伝統を見直そうという風潮があり、今年の十大キーワードの中に「古典範児」が入った

 習近平政権になって、外国の賓客が中国を訪問した際に故宮(かつての紫禁城)で出迎えをしたり、習主席が外遊した際に彭麗媛夫人がチャイナドレスを着用したりと、中国の伝統を前面に出す演出をするようになった。古典範児は、一昔前なら共産党が「ブルジョワ的だ」と否定したもので、これまでの政権では見られなかったことだ。

 中国政府は今年1月、中国人民に自信と誇りをもたせるために「中国の優れた伝統文化の伝承と発展」に関して意見を出すように求める通達を各機関に出している。こうした方針もあって、伝統文化のコンテンツが盛んに発信されるようになった。書道や漢詩、茶道や焚香(ふんこう)骨董(こっとう)収集や古典的な衣装など、古典的なものやその精神の良さを再発見しようというのが今年の新しい流行となった。経済発展で自信を深めた中国の人々は、伝統的な感性や知識、思想、価値観などを新たなよりどころにしている。

 今年の「十大キーワード」には、十九大雄安新区など習政権の政治宣伝を感じさせるものもあったが、フリースタイル保温マグボトルのように若者の価値観の変化をうかがわせるものも含まれている。体制の中で社会はダイナミックに変化しているようだ。来年はどんな新しい言葉が生まれるのだろうか。今から楽しみだ。

【あわせて読みたい】
・中国人はつらいよ…10大キーワードに透ける世相
・習政権の大誤算、強気の姿勢が招いた「中国離れ」
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・南シナ海判決、強硬姿勢で面子失った習政権

プロフィル
西本 紫乃(にしもと・しの)
 1972年広島県生まれ。広島大学大学院社会科学研究科(博士後期課程)単位取得退学。在中国日本大使館専門調査員などを経て、北海道大学大学院公共政策学連携研究部付属公共政策学研究センター研究員。専門は現代中国社会論、情報社会学。著書に『モノ言う中国人』(集英社)がある。

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