トヨタ・ジャパンタクシーが日本のタクシーを変える?

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日産は「NV200」で存在感?

 海外の自動車事情に詳しい人は、ジャパンタクシーが「ロンドンの街中を走っているタクシーに似ている」と思ったのではないだろうか。確かにフォルム(形状)は近い。理想のタクシー専用車両を作ろうとした場合、似たようなフォルムになるのかもしれない。

 しかし、第2次世界大戦前から「タクシー専用車両」を導入してきたロンドンは、世界的には稀有(けう)な存在だ。ロンドン以外の多くの都市では、タクシー専用車両の代わりに、量産型のセダンやワゴンなどを流用してきた。そして日本のコンフォートもタクシー専用車とはいえ、「一般的なセダン」のイメージが強く、ロンドンのタクシーに比べればデザインの独自性は薄かった。

ニューヨークの街を走る日産製のイエローキャブ
ニューヨークの街を走る日産製のイエローキャブ

 そんな中、インパクトのあるタクシー用車両の製造・販売に先鞭(せんべん)をつけたのが日産自動車だ。同社は米国で13年から「NV200」を展開している。ミニバン型の小型商用車「NV200バネット」をベースにした車両だ。

 11年には「イエローキャブ」の愛称で知られる米国ニューヨーク(NY)市のタクシーとして、10年間独占供給する契約を同市と締結した。

 一部のタクシー業界団体が反発して裁判にもなったが、15年に米最高裁が独占供給を認める判決を出した。現在、NY市内には多くの「NV200」が走っている。同社は日本でも10年に「NV200 バネットタクシー」として販売を開始している。

東京オリ・パラ開催に照準

 ただ、この「NV200タクシー」も結局のところ、既存の商用車をベースにしたもので、タクシー向けに設計・開発された専用車両ではない。

 トヨタはなぜ、22年の沈黙を破って専用のタクシー車両を作ったのか。まず挙げるべきは20年に開催される東京五輪・パラリンピックの存在だ。

 トヨタは15年、東京を含む24年までの五輪・パラリンピックの最高位スポンサー(ワールドワイドパートナー)契約をIOC(国際オリンピック委員会)、IPC(国際パラリンピック委員会)と結んだ。日本企業で両方のワールドワイドパートナーとなっているのは、同社とパナソニックのみだ。

 この契約を結んだことにより、トヨタは乗用車や商用車をはじめ、さまざまなモビリティー(乗り物)を公共機関などに提供し、スポーツの祭典という大イベントを通じてアピールする機会を得た。すでに水素を動力とする燃料電池車(FCV)の路線バスを開発し、東京都内で運行を開始している。ジャパンタクシーも同様に「20年向けのモビリティー」の一つと言える。

 トヨタは、ジャパンタクシーを20年までに東京都内で1万台普及させることを目標としている。これは現在、東京都内を走るタクシー(約5万台)の5分の1にあたる。

 期間中は海外から多くの観光客が東京を訪れることが予想される。外国人観光客に対し心地よい移動手段を提供すれば、絶好の製品アピールになり得ると筆者は考えている。また、国内に向けてもトヨタは、五輪・パラリンピックを契機に新車両をアピールし、コンフォートやプリウスを含めたタクシー車両の統一化を図ることで、日本のタクシー業界での地位をさらに盤石にしたいという意図があるのではないか。

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