楽天は第4の携帯電話会社として生き残れるか?

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第4のキャリア成功率は今までゼロ

楽天の三木谷会長兼社長(2017年4月)
楽天の三木谷会長兼社長(2017年4月)

 参謀に重要なのは、“Prepare for the Worst”である。つまり、最悪の状況に備える。どんなに厳しくても、現実を直視することから始めなくてはならない。

 ウィルコム、イーモバイルなど、過去に日本では、第4のキャリアの挑戦は成功していない。

 楽天の携帯電話事業参入について、孫氏は12月26日、「新しい挑戦があってはじめて物事が展開する場合があるので、新たな刺激があるのはいいことだと思う」と述べた。余裕の表れである。

 携帯電話事業は「エブリシング イズ スケール」、つまり、規模がすべてである。私はかつて、孫氏に「携帯電話事業は、日本に3社しか残らない。だから、(当時3番手だった)ボーダフォンを買えるなら買ったほうがいい」と進言した。

 これが諸葛孔明の「天下三分の計」にならって「ケータイ三分の計」などと言われた。ソフトバンクは4番目の事業者でなく、「3番目にとって代わった」のである。

 そして、第3の携帯電話事業者の賢明な戦略は、自分よりも強い1位や2位と戦うのでなく、すぐ下にある第4位を(たた)くというものである。ソフトバンクはウィルコムもイーモバイルも吸収した。

携帯電話はインフラ事業

 携帯電話事業の本質は、電力や鉄道と同じ、基地局というネットワークを膨大な投資と時間をかけて造る“インフラ事業”である。

 楽天の計画によると、サービス開始は2019年。1500万人以上のユーザーを目標としており、19年に2000億円、25年までに最大6000億円の投資がかかる見込みだ。

 それでも、全国的な通信ネットワークを構築できるとは思えない。

 孫氏は、一から携帯電話事業に乗り出すという選択はとらなかった。「時間を買う」ために、ボーダフォンを買収した。ソフトバンクは、ボーダフォン買収によって全国に広がるネットワークと、1500万人(当時シェア16%)の顧客基盤を一挙に手に入れた。

 経営学の「ランチェスター戦略」では、シェア10.9%が、シェア争いで影響力を与える「影響目標値」、19.3%が強者への挑戦権を持てる「上位目標値」とされる。

 ボーダフォン買収時の16%というシェアは、ちょうどこの中間にあり、挑戦者であるソフトバンクにとって最適なポジションを確保することになった。

 一方、楽天は携帯電話事業を一から始めるようだが、危うい選択である。06年に約1億台だった国内の携帯電話の契約数は、17年に約1億7000万台となっている。つまり、1500万人のユーザーを得ても、シェア10.9%の「影響目標値」には届かない計算だ。

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