楽天は第4の携帯電話会社として生き残れるか?

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生存条件は「つながりやすさ」

格安スマホの楽天モバイル販売店(2017年12月)
格安スマホの楽天モバイル販売店(2017年12月)

 楽天を待ち受ける状況は、決して楽天的でない。

 だが、参謀の仕事は厳しい条件の中でも、セカンドベストの策を実行することによって生存条件を確保することである。

 携帯電話事業の生存条件は、「つながりやすさ」である。思えば、3大キャリアは2012年頃、「つながりやすさナンバーワン」を争っていた。

 ボーダフォン買収によって、基地局2万1000局のネットワークを手に入れたソフトバンクだったが、当初は「つながりにくい」と言われ、世間の評判は散々であった。ソフトバンクは1年後の07年に基地局を4万6000局に倍増。孫氏は「ギネスに申請したらどうだ」と言ったほどのスピードであった。ただ、時代は違う。基地局を設置しやすい場所は、すでに3大キャリアに押さえられてしまっている。

 ここはイノベーションしかない。注目したいのは、SIMフリー端末(格安スマホ)に増えた「DSDS機能」である。これは、Dual SIM Dual Standbyと言われ、2枚のSIMカードを指し、二つのネットワークを待ち受けするという仕組みだ。

 利用者に、現在展開している格安スマホの楽天モバイル(MVNO)のSIMカードと、新規参入する携帯電話事業(MNO)のSIMカードの二つを持ってもらう。楽天は独自のネットワーク整備を都心部に集中させ、地方ではMVNOとして、NTTドコモのネットワークに接続するのである。奇策であるが検討に値する。

 「兵には正あり、奇あり」。奇策でも何でも使って「つながりやすさ」という生存条件を整備することは重要である。

電波を獲得するための人事戦略

 携帯電話事業にとって、電波は国の領土のようなものである。

 3大キャリアは、それぞれ約200メガ・ヘルツの電波を持っている。

 楽天が事業参入をしたとしても、当初は40メガ・ヘルツしか保有できず、これでは、3大キャリアの5分の1にすぎない。この戦略条件を整備しなければ、戦術レベルでどれだけ勝ってもいつかは息切れする。

 携帯電話事業に最適な周波数700~900メガ・ヘルツ帯をプラチナバンドという。

 ボーダフォンを買収した直後、3大キャリアでソフトバンクだけがこのプラチナバンドを持っていなかった。これも、ソフトバンクが「つながりにくい」と批判された原因である。ちなみに、楽天が申請する周波数は1.7ギガ・ヘルツ帯及び3.4ギガ・ヘルツ帯であり、プラチナバンドではない。

 日本の電波は、テレビ局、携帯電話事業、防衛省、防災無線などに使われている。11年にテレビのデジタル放送の移行であいた周波数は携帯電話事業に割り当てられた。これにより、ソフトバンクは12年に念願のプラチナバンドを獲得した。

 近い将来、電波の再編が起きる可能性が高い。テレビ局の持つUHF帯に余裕がある。関東1都6県の場合、テレビ局には13~52の40チャンネルが割り当てられている。現在、東京スカイツリーが使っているのは、21~28の8チャンネルのみであり、残る32チャンネルを区画整理することは十分可能である。32チャンネルで192メガ・ヘルツある。しかも、UHF帯にはいわゆるプラチナバンドがある。

 経営学者のピーター・ドラッカーは、トップにしかできない仕事に「渉外」があるとし、政府への対策の重要性を強調した。三木谷氏は官邸とのパイプが強いという。だが、それだけでは足りない。政府に通じた人材を据えるなど、大胆な人事戦略によって、渉外機能を強化すべきである。

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