SAKEブーム…海外で日本酒が人気って本当?

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高温多湿で運ばれた日本酒

柴田屋酒店の柴社長
柴田屋酒店の柴社長

 酒の卸販売を手がける「柴田屋酒店」(東京都中野区)は15年から、イタリア・ミラノで「柴田屋イタリー」を営業、日本酒を販売している。日本酒の売れ行きは、初年度と比較すると200%に伸びたという。

 しかし、開店当初、ミラノで日本酒は見向きもされなかった。柴泰宏社長は、当時をこう振り返った。

 「数年前、イタリアのワイナリー視察の際、現地の和食店で日本酒を頼むと、明らかに劣化して茶色になった液体が入ったグラスが出てきました。オーナーは、『イタリアにはこういう日本酒しか入ってこない』と説明していました。これでは、イタリア人が日本酒に見向きもしないのは仕方ありません」

 当時、イタリアで販売されていた日本酒は、質よりも価格を抑えることが重視された。このため、温度管理ができないドライコンテナで輸出された。日本からイタリアへ向かう船は、赤道直下を2回通り、コンテナの中は高温になった。デリケートな日本酒にとって、高温多湿の環境は、品質を劣化させた。

 安定した需要がなかったため、大量の在庫が生じたり、注文してもいつ届くか分からなかったりする状況が続き、イタリアで日本酒が普及する機会は損なわれてしまった。

イタリアにおける日本酒の「黒歴史」

 日本酒には、こんな「黒歴史」もある。

 かつて、イタリアでは、中国で造られた酒が「清酒(SAKE)」として流通していたことがあった。チャイナタウンで販売されていたその酒は、直射日光の当たる店頭で、温度管理も行き届かない環境に置かれていた。

 その酒をテイスティングしてみた。見た目は茶色く、劣化からくる刺激臭が鼻をつき、口に含んだ瞬間に思わず吐き出してしまった。

 経年変化によって褐色を帯びた「長期熟成酒」という日本酒もあるが、それとこれとは全く別物。熟成ではなく、ただ劣化した酒だった。これが「日本酒」として販売されていたことがあったとは、日本酒に関わる者として怒りさえわいてくる。

 日本酒の飲まれ方も独特だった。

 「イタリアでは燗酒(かんざけ)にするのが一般的でした。湯気がもうもうと上がるくらい熱し、食後酒として飲まれていたそうです。だから、イタリア人にとって日本酒は、アルコール度数が高い燗酒を食後に飲むという()しきイメージが定着してしまったように思います」(柴社長)

 残念ながら、日本酒を食事と楽しむというスタイルがなかなか根付かなかった。

 柴社長は、温度管理ができるリーファーコンテナで輸出を始め、温度管理の徹底した日本酒を販売。おいしい日本酒はイタリアでも評判になった。しかし、リーファーコンテナのコストは、ドライコンテナの約2倍かかる。このため、どうしても、日本酒の販売価格が上がってしまう。これに関税が加わるため、販売価格は日本の2~3倍になってしまうのが現状だ。

 では、高価な日本酒を販売する現地の飲食店は、日本酒を売るためにどのような工夫をしているのだろう? 

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14046 0 深読み 2018/03/25 08:58:00 2019/01/22 16:02:24 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180322-OYT8I50019-T.jpg?type=thumbnail

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