SAKEブーム…海外で日本酒が人気って本当?

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海外で好まれる酸味

 「とてもエレガントで、柔らかく、それでいて酸味がある。私は料理の中で酸味をとても大切にしています。なぜなら酸味によって口の中がさっぱりとし、食が進むからです。同じことが日本酒にも言えるのではないでしょうか。この酒は口当たりがマイルドで、そして香り豊かですが、酸味の余韻が長く、唾液もよく出てきました。それによって、口の中が浄化された感じがします」(ロイさん)

 生の魚や赤エビなどの魚介類と相性が良さそうだと付け加えた。

 同店のパティシエ、ディエゴ・カシャレスさんも「パイナップルのような香りがし、酸味をたっぷり感じられる上に、コメの発酵臭がなくていい。ユズ風味のジェラートなどのデザートにも合いそうだ」と絶賛した。

 ワインに慣れたイタリア人にとって、「酸味」は大きなファクターとなる。特に油を多用するイタリア料理と合わせる場合、甘い日本酒よりも、酸味がきいた日本酒のほうがいい。

 日本では甘口の日本酒が優勢だが、イタリアでは酸味のあるキレのいい日本酒のほうが好まれるようだ。日本酒セミナーに参加したイタリア人は、共通して「アロマ」、つまり、ほど良く香りのある日本酒を評価した。これもまた香りを重視するワインの影響であろう。

海外で日本酒が人気?

 ミラノで行った日本酒セミナーに参加したイタリア人をはじめ、現地の方々に日本酒を飲んでもらったところ、眉をしかめるような人は皆無で、日本酒はおおむね好評だ。味のアクセントに「酸味」をプラスした日本酒は、まず間違いなく受け入れられると手ごたえを得た。

 日本食レストランだけでなく、現地のイタリアンレストランでも日本酒がメニューに載れば、マーケットは一気に広がる。日本酒はその可能性を十分に秘めている。

 とはいえ、現実問題、日本酒はまだまだ数字的にも厳しい状況であることは否めない。冒頭で述べたように、ヨーロッパで一番輸入量の多いイギリスですら10位にとどまっている。

 日本酒メーカー「南部美人」(岩手県二戸市)の代表取締役、久慈浩介さんは「ロンドンでさえ、日本酒はまだ飲まれていない」という。

 「ロンドンには、ZUMA、ROKAといった、イギリス人が行きやすい日本食レストランがあります。日本酒を置いていても、イギリス人は和食を白ワインと楽しんでいます。ヨーロッパはワインの本場だけに、日本酒は手を出しづらいのかもしれません。日本酒の価値をワイン並みに上げていかなければいけませんね」(久慈さん)

 これは、蔵元はじめ、輸出業者、現地のレストランに課せられた大きな課題であり、いずれもが模索している最中である。

 「海外で日本酒が人気」と言われるのは、一部の大都市に限ったことだろう。ヨーロッパ全体での日本酒は、まだスタートラインに立ったばかりなのかもしれない。

プロフィル
葉石 かおり( はいし・かおり
 1966年東京都練馬区生まれ。日本大学文理学部独文学科卒業。ラジオリポーター、女性週刊誌の記者を経て現職に至る。全国の日本酒蔵、本格焼酎・泡盛蔵を巡り、各メディアにコラム、コメントを寄せる。「酒と料理のペアリング」を核に、講演、セミナー活動、 酒肴(しゅこう) のレシピ提案を行う。2015年に一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーションを設立。国内外にて世界に通用する酒のプロ、SAKE EXPERTの育成に励み、各地で日本酒イベントをプロデュースする。著書に『酒好き医師が教える最高の飲み方』(日経BP社)、『まんが&図解でわかる はじめての日本酒』(マイナビ出版)など多数。

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無断転載禁止
14046 0 深読み 2018/03/25 08:58:00 2019/01/22 16:02:24 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180322-OYT8I50019-T.jpg?type=thumbnail

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