サクラ博士にバッタ博士…すごいハカセが日本にいる

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地元で言われ続けた「ヤマザクラが二度咲く」

野生のサクラの新種と確認されれば国内で103年ぶりとなる「クマノザクラ」(森林総合研究所提供)
野生のサクラの新種と確認されれば国内で103年ぶりとなる「クマノザクラ」(森林総合研究所提供)

 「大発見」には伏線があった。話は2016年にさかのぼる。和歌山の森林関係者から「気になるサクラがある」と情報提供があり、勝木さんたちは同年春に現地を調査した。紀伊半島の野生種と言えば、ヤマザクラかカスミザクラではないかと予想したが、そのどちらでもなく、花の形はオオヤマザクラに似ている印象があった。

 問題のサクラをよく見ると、花の付く枝の根元部分の長さがヤマザクラやカスミザクラに比べて短かった。葉もヤマザクラ、カスミザクラよりひと回り小さく卵形をしている。さらに開花時期についても、紀伊半島で一番多いヤマザクラの開花時期(4月中~下旬)と異なり、少し早い3月中旬~4月上旬であることがわかった。

 勝木さんは「新種の可能性が高い」とにらんだ。

 和歌山など4府県の博物館などにあるサクラの標本を調べると、「既知の野生種」として保存している中に、この変わったサクラがあった。採集地は和歌山、三重、奈良の3県にまたがるエリアで、数万本はあると推計される。地元では「ヤマザクラが二度咲く」と長年言われ、勘違いされてきたが、サクラ博士は見逃さなかった。新種は「クマノザクラ」と命名した。2年間にわたる調査をまとめた論文は今年6月、日本植物分類学会の専門誌に掲載される予定だ。

紀伊半島で見つかったクマノザクラ(森林総合研究所提供)
紀伊半島で見つかったクマノザクラ(森林総合研究所提供)

 これまではサクラを「研究対象」として冷静に()めた目で見ていた勝木さんだが、今回のクマノザクラ発見にかかわることで、サクラに対する見方が変わったという。

 美しい景観を作るために、植樹では見栄えのいい栽培品種のソメイヨシノを植えるケースが多い。サクラの名所はそうして成り立っている。しかし、サクラ博士の目に映ったクマノザクラの「野生の美しさ」は、格別なものだった。新著の中で勝木さんは、「調査を進める間に、このサクラの魅力にすっかりとりつかれてしまった」とまで書いている。

 サクラは地域にとって貴重な観光資源だ。クマノザクラのおかげで紀伊半島南部にもこの春、大勢の人々が訪れることだろう。次なる新種を見つけてくれるよう、サクラ博士の活動に今後も注目していきたい。

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15090 0 深読み 2018/03/24 05:20:00 2018/03/24 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180323-OYT8I50009-1.jpg?type=thumbnail

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